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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン4
553/2311

第45章 斬首作戦開始直前 干渉点の覚醒


(日本海・原子力空母ロナルド・レーガン/医務室)



 医務室は白い蛍光灯に照らされ、壁際には生体モニターと軍用通信端末が並んでいた。

 ケヴィン・ハートマン少佐——コールサイン Falcon-12 は、拘束ベルトでベッドに固定され、額には複数の脳波センサーが貼り付けられている。


マイヤーズ博士(米海軍研究局)

「電極の配置、左前頭前野と右前頭極を確認。——深部磁気刺激(dTMS)と神経同調波送信を同時に開始する。」


医療士官

「脳波ベースライン、安定……送信準備よし。」


 送信装置が低く唸り、超低周波のパルスがFalcon-12の脳内を震わせた。

 モニターには急速に変化する脳波スペクトル——アルファ帯からシータ帯への落下、その先に不明な周波数ピークが立ち上がる。


カレン・マイヤーズ博士

「……きたわ。“感応周波数”だ。」


 次の瞬間、ハートマンの瞳孔が開き、呼吸が浅く速くなる。

 彼の意識は、まるで艦の外へ吸い出されるように離れた。


(視界転換)


 ——夜間の街灯。湿った舗装路。遠くで回るレーダーの低い唸り。

 眼下を黒塗りの車列が通り過ぎる。後部座席の顔——目標人物——が一瞬、月光に照らされる。


(医務室)


ハートマン(震える声で)

「……元山市南西……工業団地前……三両目、黒のメルセデス。」


医療士官(慌てて通信回線を開く)

「艦長! 対象位置を口頭で伝達しました、方位と速度も!」


マイヤーズ博士(興奮)

「これはハッキングじゃない……彼の脳が、過去と現在のISR情報を統合して“直接取得”しているのよ。」


 モニター上では、彼の脳波に時空干渉の既知パターンが重なり、記録されていく。

 それは80年前の大和艦橋での視覚記憶と、現代の偵察データが、同じ“座標”に収束する瞬間だった。


マイヤーズ博士(低く)

「——よしこれで、艦長の言っていた、大統領コードを奪える。」

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