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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン1
55/2015

第24章 アニメ風



B-29の巨大編隊は、司令機を失った瞬間に秩序を失った。

護衛のP-51Dも次々と火球に変わり、空は混乱と絶望で満ちていく。


米軍無線は悲鳴に覆われた。

「敵機は見えない! どこから撃たれている!」

「編隊が崩れる! 退避しろ!」


その声をよそに、F-35Bの編隊長は冷ややかに告げる。

「アルファ1より報告。B-29、混乱状態。P-51D、残り三十機。散開中」


冷静な声が、逆に戦況の残酷さを際立たせた。


「よし。ミサイル残数を確認。P-51Dは機関砲優先。B-29はリーダー機を狙った後、ガンキルで落とせ。弾薬は節約しろ」


片倉大佐の指示がデータリンクで伝わる。

戦いは、もはや戦術ではなく管理だった。


F-35Bが背後に回る。

GAU-22/Aの25mm機関砲が火を噴く。

火線が翼を裂き、胴体を貫いた。

レシプロ機は抵抗もできず、数発で砕け散る。

破片となった機体が、空を黒く染めながら海に突き刺さっていく。


一方、B-29も狙われた。

密集隊形に潜り込み、エンジン、操縦席、爆弾倉――致命箇所を正確に撃ち抜く。

炎上。分解。落下。

巨体は、重力に引かれるまま悲鳴のような軌跡を残し、沖縄の海へ沈んでいった。


「ブラボー3、B-29一機撃墜!」

「チャーリー1、P-51D撃墜確認!」


撃墜報告が次々と重なる。

青空は、黒煙と炎で覆い尽くされていった。


米軍搭乗員たちは必死に雲へ逃げ込もうとした。

だが、F-35Bのセンサーからは逃れられない。

見えざる死が、追いすがる。


――開始から、わずか数分。


百機のB-29は、すでに半数以上を失った。

護衛のP-51Dは壊滅。


「こちらアルファ1。残存B-29は二十機。P-51D、全滅」


その報告が「いずも」に届く。


モニターを見つめながら、片倉は静かに息を吐いた。

「追撃を継続せよ。残存機は全て撃墜。ただし弾薬を厳守しろ。必要なら帰投を優先せよ」


殲滅を命じながらも、声には苦味が混じっていた。

勝利の興奮ではなく、弾薬という限られた資源を削る現実。

そして――未来を変えてしまった代償への、言葉にできぬ重さ。


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