第26章 UUVの監視
大和の艦橋内の光は抑えられ、UUVからのモニターの青白い映像が士官たちの顔を照らしていた。
大型スクリーンには、UUV-3が送信した潜望鏡映像が静止画で並ぶ。
左側には海警33102の船首、右側には「あきづき型」護衛艦の灰色の艦首——間に挟まるのは、石垣島の小型海保艦艇、と沖縄の大型海保艦艇。
「…これが現況です」
管制士・佐久間一尉が指で地図画面を示す。赤い点が中国海警、青い点が護衛艦。距離4.4キロ。
その外側に、黄色の点が複数——増援の高速艇群の接近経路。
南條忠義大尉は腕を組み、無言で映像を見ていた。
「——増強の主力部隊か」
低く、声が艦橋に落ちた
「艦長、方針を」
海自の航海長が促す。
艦長・雨宮は短く息を吐き、机上の任務要綱を目で追った。
そこには「尖閣諸島における日本側領域防衛行動は、自衛の範囲に限定。発砲は武器等防護・緊急避難のみ」と赤字で記されている。
「予定通り大和は公海上に留まり、直接介入は避ける。ただし、UUVとドローン群で状況監視を継続」
「増援の高速艇群との距離が1海里を切った時点で、海保に警告データを送信。護衛艦にも暗号リンク経由で通報」
その決定に、南條がわずかに眉をひそめる。
「つまり、見ているだけか」
雨宮は南條をまっすぐ見返した。
「我々は戦火を拡げるためにここにいるのではありません」
「だが、見ている間に島は取られる」
「——それでも、今は耐える時です