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第119章 ソウル「机上の地図」
ソウル・龍山の米韓連合司令部。作戦室の中央には、巨大な電子地図が光っていた。北緯38度線の向こう側、赤いアイコンが一晩で数を増やしている。
G-2(情報部)の大佐が報告する。
「偵察衛星からの画像で、開城付近の砲兵旅団が全車輌移動。燃料輸送車の行動パターンは演習時よりも速い。通常訓練とは明らかに異なります」
韓国側の将官がうなずく。
「砲撃準備だな。対砲レーダーは前進配置を開始すべきだ」
作戦部長は手元のファイルを閉じ、スクリーンの南側を指差す。
「オサン、クンサン、ハンフリーズ——すべての基地で即応待機を72時間態勢に。航空戦力はF-16とA-10を分散配置、港湾補給拠点は港湾バリアを強化」
言葉は冷静だったが、その場の空気は薄い硝煙の匂いを帯びていた。