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第114章 東京都内の世帯の会話
大手商社・外資系金融勤務(港区・高層マンション)
リビングの壁一面に映る大型テレビでは、CNNの緊急特番が流れている。
スーツ姿の男性がネクタイを緩めながら呟いた。
「もし台湾有事が現実化したら、物流もサプライチェーンも崩れる。株式も為替も全部揺れるぞ。円は一時的に上がるかもしれんが……。」
ワイングラスを持った妻が冷ややかに言う。
「あなた、投資の話ばかり。私たち、逃げる準備のほうが先じゃない?」
男性は一瞬黙り、窓越しに東京湾の夜景を見つめた。
中堅メーカー勤務・共働き世帯(板橋区・分譲マンション)
夕食後、テレビのニュースが北朝鮮の砲兵部隊展開の映像を映し出す。
妻が箸を置き、不安げに夫を見る。
「ねえ、これって本当に戦争になるの?」
夫はスマホでSNSをスクロールしながら答える。
「わからないよ。でも、有事になったら部品も原料も入ってこなくなるな……ウチの工場、すぐ止まるかも。」
妻はため息をつき、冷めかけた味噌汁をすくった。
「そうなったら、ローン払えないね。」