第83章 自動報復
速報:中国外務省、日米への“自動報復”を警告
【オープニング映像】
画面右上に《BREAKING NEWS》の赤いテロップが点滅する。
中国・北京、外務省の記者会見室。壇上には、中国国旗と国章が厳かに掲げられている。その中央に立つ報道官が、感情を一切交えず、淡々とした口調で声明を読み上げる。
報道官(中国語・同時通訳音声重ね):
「我が国は、日本近海への戦艦『大和』および米海軍空母『ロナルド・レーガン』の接近を注視している。台湾問題に関し、これら艦船がいずれか一方でも軍事行動を起こした場合、我が国は、日本本土の在日米軍基地および自衛隊基地に対して自動的に弾道ミサイル攻撃を実施する」
会場の空気が一瞬にして凍りつく。報道官の言葉が持つ意味を理解した記者たちが、一斉にメモを取り、カメラのシャッター音がけたたましく鳴り響く。
報道官は、動じることなく続ける。
「これは、我が国の安全保障上の“必然的反応”である。日米軍事同盟が、その行動の責任を共有するという事実を明確にした。台湾は中国の一部であり、外部勢力による干渉は断じて容認しない」
【現場レポート】
キャスターの声が映像に重なる。
「中国外務省は、戦艦『大和』と空母『ロナルド・レーガン』を名指しし、軍事行動への“自動報復”を明言しました。この発表はわずか数分で国営通信社から全世界に配信され、米国防総省、日本政府にも緊急通報されたとみられます」
【国際メディアの反応】
画面がCNN、BBC、NHKの速報画面を次々に映し出す。テロップには、《CHINA THREATENS MISSILE STRIKE ON JAPAN IF US OR YAMATO INTERVENE IN TAIWAN》の文字が走り、世界がこの事態に注目していることを物語る。
【東京・外務省前】
在日外国特派員たちが中継機材を設置し、各国の放送が同時に発信を始めている。日本側官僚はコメントを控え、固い表情で庁舎に入っていく。
キャスター(締めの一言):
「この発表により、台湾有事は一気に“日本本土有事”へと直結する構図が鮮明になりました。日米同盟の結束が試される中、残された猶予は極めて限られています」