第75章
「時代の壁を越えて、未来への航海」
2025年11月16日 10:00(JST)
場所:呉港・《大和》艦橋
夜間の極秘の出航準備を経て、大和は早暁の海を迎えていた。艦橋には、出航を控えた7人の乗員が集まっている。有馬艦長と秋月一等海佐は、コンソールに映し出される航路図を凝視している。その横には、仁志兵曹長と西村中尉、そして海上自衛隊の杉浦二佐、甲斐三佐、加藤兵曹長が、それぞれの持ち場で待機していた。
「有馬艦長、航路、設定完了。沖縄沖、座標N26°40’ E128°04’。到着まで、約48時間です」
秋月一等海佐が、冷静に報告する。それは、かつて大和が沈んだ、歴史の特異点でもある場所だった。
「よし。乗員、配置につけ!出航準備、開始!」
有馬艦長の声が、艦橋に響き渡る。
「西村中尉、主砲の射撃管制システム、全セクタークリア」
西村中尉が、力強く応じた。
「仁志兵曹長、艦のレーダーシステム、全方位探知に切り替え」
「了解!」
「杉浦二佐、甲斐三佐、加藤兵曹長、UAV管制システム、いつでも発進可能」
杉浦二佐が、仁志兵曹長に顔を向けた。
「仁志兵曹長、この航海は、あなたたち帝国海軍と、我々海上自衛隊の、共同作戦です。我々の目的は、日本の独立と平和を守ること」
仁志兵曹長は、深く頷いた。
「承知しています。沖縄の空は、もう二度と、鉄の雨を降らせない」
「加藤兵曹長、UAV発進準備完了」
加藤兵曹長が、誇らしげに応じた。
「我々は、歴史の壁を越え、この国の未来を守るために、ここにいる」
有馬艦長の声は、艦橋に響き渡った。
「大和、スプリングラインを緩め、ブレストラインを放せ!前進微速、取舵5度!」
巨大な艦体が、ゆっくりと岸壁を離れていく。