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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン3
426/2187

第63章 「静かなる嵐、覇権の変遷」



場所:北京、中南海・軍事戦略会議室

日本の呉港からの中継映像は、北京の中南海、軍事戦略会議室の壁面スクリーンにも映し出されていた。そこには、歓声を上げる日本の群衆と、レールガン、レーザー砲、ドローン群を展開させる《大和》の姿があった。


「…これは、何を意味するのか?」

会議室に集まった幹部たちは、皆一様に無言だった。彼らは、日本の技術力を侮っていた。しかし、今、彼らの目の前にあるのは、米軍の最新鋭艦をも凌駕する、圧倒的な技術の結晶だった。


「日本の世論は、我々の想定通りに反戦ムードに傾いていたはずだ。だが、このデモンストレーションは、その世論を一気に覆そうとしている。国民は、『大和』という象徴に、再び熱狂し始めている」

幹部の一人が、悔しさを滲ませて語った。


その時、国防部総参謀長が、冷静だが鋭い口調で口火を切った。

「彼らの狙いは、二つだ。一つは、国民の反発を抑え、政府への信頼を回復させること。そしてもう一つは…」


総参謀長は、スクリーンを指さした。そこには、デモンストレーション中に《大和》のレーダーが尖閣諸島の無人島を照準している様子が、拡大映像で表示されていた。


「…これは、我々への明確な牽制だ。台湾侵攻を計画している我々に対し、『日本は、自国の防衛のために、この技術を使う』というメッセージを送っている」


会議室に、深い沈黙が訪れる。

「我々は、日本の技術力を完全に読み違えていた。彼らが、ここまで進んだ兵器を開発していたとは…」

幹部たちは、皆一様に、日本の技術力と、その戦略に、深い警戒心を抱いていた。


「台湾侵攻作戦『雲南』の最終フェーズは、既に始まっている。しかし、我々は、この状況を再評価する必要がある。日本の技術力は、台湾侵攻に際し、我々にとって、致命的な脅威となりうる」

幹部の一人が、懸念を表明した。


「我々は、日本政府に対し、この技術を平和利用に限定するよう、国際社会に訴える。そして、台湾侵攻に際し、日本が中立を維持するよう、水面下で圧力をかける。この状況で、日本を敵に回すことは、我々にとって、大きなリスクとなる」


幹部たちは、無言で頷いた。

「…我々は、日本の技術力と、その戦略に、深い焦燥と警戒心を抱いた。しかし、同時に、彼らの持つ『時の扉』の鍵が、我々の手にないことを、痛感した」


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