第61章 新ブラック大和デビュー
「……黒い……?」
観覧エリアの最前列で、カメラを構えた少年が呟く。
漆黒はすべてを吸い込み、陽光の下でも輪郭が消える。海面に映る影さえも自然なまでに淡い。
白石一佐は艦橋最上部から、群衆のどよめきを感じた。 今日のメインプログラムは「上部艦橋兵装の暫定試験」。 しかし実際には、新大和の国民へ、いや世界への「デビュー」でもあった。
艦橋の作戦表示盤が点灯し、武器管制員がやがてと確認コールを入れる。
「レールガン——通電良好」
「レーザー砲——冷却系安定」
「CIWS改良型——ドローン連動コントローラー起動」 「
フェーズドアレーレーダー——全セクタークリア」
「VLSミサイルセル——全管作動確認」
港内に緊張が走る。
まず、前甲板のレールガンが静かに仰角を捉え、超電導コイルの冷却された空気を震わせる。 数秒後——白い稲光のような閃光が走り、金属音すらしない電磁加速の衝撃波が観客の鼓膜を見つめた。
続いて、左右のレーザー砲が一旦に照射。港沖に配置された無人ドローンの外殻が瞬間に蒸発し、煙だけを残して海に沈む。その映像は、観客の息を呑むには十分だった。
最高潮に達したのはCIWS改良型のデモだ。甲板ハッチが自動開放、小型攻撃ドローンが上昇する。その直後、上空から襲い来る模擬巡航ミサイルを自律追尾し、甲高い射撃音で撃墜した。
撃墜シーンは全てライブ映像で画面に反映され、港全体から歓声が上がる。