第47章 「同盟の亀裂、国難の代償」
場所:在日米軍横田基地・統合司令部会議室
夜明けと共に始まった北朝鮮のテロ、そしてその声明は、日米同盟の根幹を揺るがしていた。在日米軍横田基地の統合司令部会議室は、鉛のような重い静寂に包まれていた。
中央の大型円卓には、日本の外務大臣、防衛大臣、そして統合幕僚長が、米側の第7艦隊司令官、国防情報局長(DIA)、そして国家安全保障担当補佐官と対峙している。
「…今回のテロは、日本の原子力インフラを標的とした、国家に対する宣戦布告です。我々は、北朝鮮への即時軍事報復を実施しました」
米第7艦隊司令官の声は、冷徹で、感情を一切含まない。
緊迫した協議の最中、統合司令部会議室の巨大スクリーンに、衝撃的な映像が映し出された。北朝鮮のプルトニウム濃縮施設が、米軍の特殊部隊とサイバー攻撃によって壊滅していく様子を捉えた、リアルタイムの偵察映像だった。
「…作戦は成功。ターゲット、完全に無力化」
映像と共に、米軍司令官の声が響き渡る。日本の閣僚たちは、顔を見合わせ、言葉を失った。
「これは…どういうことですか?」日本の防衛大臣が、怒りを滲ませて問い詰めた。「我々との協議中に、なぜ独断で軍事行動に踏み切ったのですか?」
米第7艦隊司令官は、表情を変えずに答えた。
「これは、北朝鮮への軍事報復です。今回のテロは、日本の原子力発電所を標的としたものですが、その位置は横須賀基地に近接しており、万が一の事故が起これば、在日米軍とその家族も被爆範囲に入ることになります。我々は、このテロを在日米軍への間接的攻撃とみなしました」
その言葉に、日本の閣僚たちは愕然とした。
「横須賀基地への…間接攻撃…」
彼らが恐れていたのは、米国の独断行動だった。これは、日米同盟の根幹を揺るがす、極めて重大な問題だった。
「…しかし、事前協議もなく、独断で軍事行動を起こすとは。これは、主権国家に対する侮辱です」
日本の外務大臣が、怒りを露わにした。