第43章 「国難の記者会見、言葉の裏側」
場所:官邸記者会見室
官房長官は、いつもの冷静沈着な態度を保ちながらも、その目には強い意志の光が宿っていた。彼は、事前に用意された原稿を、ゆっくりと、しかし力強く読み始めた。
「昨夜発生いたしました、原子力発電所へのテロ事件、そしてその後の北朝鮮からの声明について、政府は断固として非難します。これは、国際社会の平和を脅かす、許し難い暴挙です」
官房長官の言葉に、記者たちから一斉に質問が飛ぶ。
「北朝鮮の声明には、日本が軍事的野心を持つことへの警告とありました。これは、戦艦大和の再武装化が原因ではないですか?」
官房長官は、一瞬の沈黙の後、静かに、しかし明確に答えた。
「そのような短絡的な分析は、断じて受け入れられません。我々は、北朝鮮の声明の背後にある、より深刻な意図を分析しています。彼らは、日本の民主主義を揺るがし、国論を分断させることを目的としている。政府は、このテロに屈することなく、断固として国家の安全を守り抜く決意です」
そして、官房長官は、事前に用意された原稿にはない、核心的な言葉を付け加えた。
「我々は、このテロに屈服すれば、それが、さらなるテロを招くことになると考えます。そして、この国を狙う真の脅威は、北朝鮮だけではない。我々は、この国を守るため、国民の皆様の真の理解を求めて、今後、戦艦大和の再武装化と、その役割について、全容を包み隠さず説明する機会を設ける所存です。」
その言葉は、記者会見室に、そして日本中に、大きな衝撃を与えた。
官房長官の記者会見は、単なる事態の説明ではなく、国民の不信を乗り越え、この国の未来への道筋を提示するための、政府の苦渋に満ちた決意表明だった。