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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン3
384/2200

第21章 呉港・秘密ドック周辺

【シーン】:


展示終了から48時間後。野間は呉港の一角に身を潜めていた。出航したはずの《大和》は、公開情報通りに「移送」された後、一般には立ち入り禁止となっている旧海軍工廠の秘密ドックに姿を消していた。


夜の帳が降りる中、野間は高性能な望遠カメラを構え、ドックの様子を捉えていた。照明が少なく、ほとんど闇に包まれているが、最新の暗視技術を使えば、内部の動きを鮮明に捉えることができる。


ドック内には、明らかに通常の整備や補修とは異なる作業が行われていた。艦橋部分に巨大なドーム状の複合センサーブロックが取り付けられ、ステルスドームの表面に何かが貼り付けられている。それは、極秘会議の議事録にあった「自律偏光フィルム」に酷似していた。


その時、一人の人物がドックの入り口に姿を現した。白井修一・一等海尉だ。彼は周囲を警戒しながら、まるで誰かと会うかのように周囲を見回していた。その視線が、野間が潜んでいる方角を一瞬だけ捉えた気がして、野間は息をひそめた。


白井は、手に持った書類を素早く確認すると、ドックの奥へと消えていった。野間は、白井の行動が、この艦の秘密を解き明かす鍵になると確信した。


翌朝、野間は呉市内のカフェで、白井の動向について取材メモを整理していた。その時、隣のテーブルに座っていた男が、さりげなく話しかけてきた。


男(仁科防衛審議官)

「野間さん、朝から熱心に仕事してますね。呉まで来た甲斐はありましたか?」


野間の心臓が跳ね上がった。この男は、自分が何者であるかを知っている。そして、自分が何を探しているのかも。


仁科(笑顔で)

「残念ながら、《大和》はただの展示艦です。それ以上の何かを期待しても、徒労に終わりますよ。」


その言葉は、まるで警告だった。しかし、野間はひるまなかった。


野間

「そうでしょうか。展示品にしては、ずいぶん厳重な警備ですね。それに、夜間の作業も、通常の補修とは違うように見えますが。」


仁科の笑顔が消え、厳しい表情に変わった。


仁科

「あなたは、我々の活動を危険にさらしている。これ以上詮索を続ければ、あなたの身の安全を保証できません。」


その瞬間、野間は自分がすでに「見てはいけないもの」を見てしまったのだと悟った。しかし、彼はもう引き返せないところまで来ていた。


野間

「なぜ、そこまでしてこの艦を隠すのですか?ただの展示艦ではない。この艦は、今も進化を続けている、そうではないですか?」


仁科は何も答えず、ただ冷たい視線で野間を見つめた。その視線は、この艦の持つ秘密の重さと、それに触れた者の運命を物語っていた。


野間は、その視線に答えを見出す。

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