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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン3
381/2347

第18章 総理の孤独と党の葛藤


国会議事堂の対面にそびえる民主主義党本部。

議題は「横須賀港の展示艦大和の呉再回航および政府発表の整合性」。

長机に並ぶ幹部たちの顔は、安保改定案の失速に加え、突然持ち上がった「展示艦回航問題」への対応で疲労困憊してた。


「反対動は『緊急展示艦《大和》が実際には再武装されつつある」という前提で、議題を準備しているらしい。

幹事長が切り出すと、隣に座る国会対策委員長が渋い顔で返した。


「そもそも『展示艦』というカバーで海自に引き渡した段階で、メディアと反対は『意図的な軍拡大隠蔽』だと言い争伝しはじめている。修正、安全法制だからこそが吹き飛びかねん」

別の派閥領袖が苦戦する。


「……あの艦を展示と称して横須賀に置かれ、民間の技術者や大学機関を総動員して艦内をアップグレード。さらに回航先が“呉”だったよ。どう考えても演習ではなく実戦配備の準備と見なされる」

部屋の空気が一層重くなる中、幹事長が呻くように言た。


「問題は、総理がそれを『一切相談せず』独断で進めていることだ。安保改定を兼ねるための布石、という話だったが……この情報開示スケジュールも、国会軽視と受け止められん」

場面は変わって、官邸・執務室。午後10時を回っていた。


総理・風間慎也は、執務机に積まれた報告書を前にして沈黙していた。

報告書一番上には、「《大和》艦内:量子暗号通信ユニット完了報告」「警備艦まやと連携演習計画——尖閣近海」とある。


風間は、艦の転用がいずれ政局の爆心地になることを知っていた。 しかし、今さら引き返すことはできない。 この艦が再び「日本の意思を象徴する存在」として未来を立ち、彼は信じていた。

しかし、党内はそれを踏まえて、それなりに足を引っ張っていた。


幹事長室では、別の密談が行われていた。

「もう限界だ。総理のあの一本調子では、党がもたん」

「いっそ風間を録画して、人気取りだけの“つなぎ内閣”にしてはどうか。昔若手、石神なんかを置いて、V字回復推定に転じるしかない」


「だが石神は軍事に無知だ。あの艦の運用方針を反対に翻弄されれば、全てが水の泡になる」

「仮にそのまま総理を続投させて、今の平和に耐えきれるのか? 支持率は20%を割っている


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