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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン3
374/2331

第12章 「回路に忍び寄る指」


◼︎ 1.鉄道会社(JR東日本情報システム部)

03:04 JST|東京・大崎オペレーションセンター


視点:28歳男性/運行管理サーバ担当(元インフラSE)


最初の異常は、「ログインセッション数」だった。定期ダイヤ

配信サーバに、物理的に存在しない端末IDが4つ、SSHログインしてきている。


terminal-000x92@internal.jreast.co.jp : Accepted password for root


この「terminal-000x92」は、社内のどの端末資産にも登録されていません。


「なにこれ……仮想端末?」


さらに不気味だったのは、そのログが3分後には「存在しなかったように削除」されたこと

だ。


その臨時、運行管理アプリの画面が一瞬だけフラッシュし、

新幹線「こまち52号」の進路制御ポイントが「手動操作」に切り替わっていた。



◼︎ 2.関西電力会社(電力・制御系ネットワーク管理課)

03:05 JST|大阪市北浜エネルギー監視制御センター


視点:35歳女性/SCADA系ネットワーク設計技術者


「同期位相が、ズレてます。0.17度……東京側からの。」


SCADA画面に表示された送電網のデータ。

送信側(東京)と受信側(大阪)で、波形の考え方がごくわずかに不一致を起こしていた。



接続されているはずはない、旧バージョンのHMI(人機インターフェース)ログが出力されたのだ


「え、昭和?こんなUI、今は無いはずですけど……」


さらに、その数秒後に「制御卓全体の通信がゼロ化」した。


3分後、通信は復旧した。しかし、電力負荷バランス 演算サーバは「演算停止」していた。


◼︎ 3. 金融機関(三井住友銀行システム統合本部)

03:06 JST|東京都千代田区神田・本社ビル地下


視点:29歳男性/ATMネットワーク監視チーム


夜の静寂の中、警告なしで全国72台のATMが「無通信状態」になっ

た。


直後、あるログが出てきました。


NOTICE: DEPOSIT_TRACK = "0.00 JPY / COUNT: 99999"


入金記録が「0円で9万件」——それは実際には発生していない処理だった。

モニター上に映る数字は、検証のテーブルに直接置かれていたことを意味していた。


さらに恐ろしいことに、その数分後、誰かがその「異常ログ自体を完全に巻き戻してキャンセル」していました。


「リプレイじゃない。……リライトじゃない。『時間が消された』みたいだ」


◼︎ 4. 防衛産業(重工メーカーI社・電子戦装備部門)

03:07 JST| 神奈川県・横浜技術開発センター


視点:41歳男性/主任技術者(艦載電磁妨害装置のソフト担当)


その時、開発用非公開サンドボックス環境に、

「存在しないテストケース」が自動起動されました。


SCENARIO ID: JSDF_EW202X_REDTEAM_未登録

ACTION: Emit "BLOCK_SIG" on L-Band @72ms delay


「え……それ、自衛隊の模擬訓練じゃないか?」


それは、現場レベルでは気づかなかった「極秘演習」のIDだった。 そこで

、開発端末がネットワーク切断状態であるはずの「エアギャップ環境」上で発生した。


ディスプレイの一部が赤く明滅したかと思うと、

「DATA_WIPE COMPLETE」というメッセージとともにウィンドウが消えました。


以降、その端末は起動できません。BIOSごとに破壊されていました。



これら全ての現場には共通する「ある痕跡」が存在していた——


「9.9.9.0/24」からの1ピンだけのICMPパケット


全ての「侵入痕跡」は、それを一つ残して「消えていた」。

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