第6章 例外措置
防衛省・統合幕僚監視部 令和地下B-6階 特別調整室
薄暗い会議室の中央。円卓に集まったのは、海自・陸自・空自、そして海保の作戦統括官たち、加えて内閣警戒副警備と国家安全保障局(NSS)の要員であった。
「これが実験ではなく、実効ある監督の共成事実化だというのは、現場からの報告でほぼ確実です」
そう認めたは、NSSの東アジア班長である栗原1佐。 海保職員の頬は引きつり、空自将校はタブレットに検討を落としたまま黙っていた。
「問題は、“次”です。相手はレーダーロック、警告放送、表示飛行まで一貫して手順化しています。こちらの反応を“記録”している」
防衛審議官が静かに話し合いました。
「防衛大臣は、前線への『直接的な海上自艦派遣』に注意ですが……『教育訓練』名目での乗艦なら、政務レベルで承認可能とのことです」
重い沈黙の後、陸幕作戦班長が切り出す。
「それ――」
「そこで、『混成乗員』で『実戦対応訓練』を行う。海自現役+戦艦大和から来た歴史的将兵を海保巡視艇に同乗させる。これが我々の――現場下対応だ」
すでに大和乗員側は 航海長補佐の鷹見 剛志の名前があがっている。思考と判断力は、現場の艦長クラスにも劣らない。
同時に海自側から、海自第1術科学校から転属中の海自のいずもの航海長 葛西昭一が挙がった。
「彼は迅速指導に実績あり。さらに、大和の副航海長の鷹見 剛志とも『歴史的艦種との混成指揮経験』がある。 すでに『戦艦構造と主流判断』についてと何度も審議している」
防衛事務次官が椅子から立ち上がった。
「これより尖閣警備海域において、極限的例外として「再整備中の大和関係者」および「海自士官」の両名を巡視船に同乗させ、実戦形式の教育を行う。現場への通知は、即時でよい」