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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン2
357/2276

第122章 記憶の断片


米海軍横須賀基地、士官宿舎。

窓の外には係留中の空母「ロナルド・レーガン」の艦橋が、夜間照明に照らされて浮かび上がっている。


艦載機パイロット、ジョナサン・カーター少佐は、机の上のカップに手を伸ばし、冷めきったコーヒーを口にした。

ここ数か月、眠りは浅く、夢は必ず同じ光景で終わる。


——空は鉛色、海面には白波。

旧米海軍の甲板に立ち、整列する隊員たちの間をすり抜け、彼はコクピットに駆け込む。

機体は第二次世界大戦末期の艦載戦闘機「F6Fヘルキャット」型。

無線機からは甲高い声が飛び、短い命令が耳を打つ。


その先には、巨大なシルエット——大和型戦艦。

砲門から閃光が走り、海面に高く白い水柱が立ち上がる。


ジョナサンは操縦桿を握り、急降下。

照準器の円が艦影を捉え、親指が爆弾投下スイッチを押し込む。

機体が被弾し、コクピット内に警告灯が赤く点滅する。


機体は制御を失い、傾きながら海面へ——

視界が回転し、波間が迫り、最後に見えたのは、鋼鉄の巨艦の艦首だった。


ベッドの端で、ジョナサンは両手で顔を覆った。

現実の任務で沖縄を飛んだことはない。

だが、これらの光景は夢ではなく、記録映像でもない。

手の感触、Gのかかり方、海の匂い——あまりに生々しすぎる。


彼は誰にも話せなかった。

精神科医に行けば「戦闘ストレス」か「PTSD」と診断されるだろう。

だが、自分はそんな戦闘を経験していないはずだ。

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