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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン23

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第188章 第8章:ミステリー —— 暇つぶしサークルにて


場所: 大学のサークル棟、「暇つぶしサークル」部室。


野本:(壊れた扇風機の羽根を手で回しながら)

「……深度三四五メートル。反転した大和の船底には、四本の推進軸シャフトが、死んだ昆虫の足のように突き出しています」


小宮部長:(シュルレアリスムの画集を眺めながら)

「死んだ昆虫の足……。ダリ的ね。硬質で、かつ哀愁を帯びたフォルム。悪くないわ」


野本:

「部長、ここからがミステリーです。左舷の二本、右舷の内側一本は確認できました。しかし、右舷の外側、第四スクリューだけが『消失』していたのです」


橋本副部長:(携帯ゲーム機をピコピコしながら)

「なんだよそれ。初期不良か? パーツ足りないまま出荷しちゃった系?」


野本:

「いいえ、副部長。プラモデルではありません。……根元から『むしり取られて』いたのです。想像してください。カニの足を食べようとして、関節じゃないところで無理やりへし折ってしまった時の、あの残酷な断面を」


橋本副部長:

「カニ食べる時、そんな乱暴なことしねーよ。ハサミ使えよ」


野本:

「金属疲労や着底の衝撃ではありません。……断面はねじ切れ、外板は内側に凹んでいました。これは『爆発的な切断』です」


小宮部長:

「不在の証明……。そこに『ない』ということが、何か凄まじいことが起きたという『ある』を証明しているのね。禅問答みたいで好きよ」


野本:

「はい。そこには、記録に残っていない『幻の魚雷』が命中した可能性が高いのです」


場所: 大学の学食。


野本:

「……高速回転するスクリューに、爆発物が直撃する。山田さん、これがいかに恐ろしいことか分かりますか?」


山田:

「うーん、回転してるタイヤにバズーカ撃ち込むようなもんか? 派手にぶっ飛びそうだな」


野本:

「その通りです。回転エネルギー(トルク)と衝撃波が干渉し合い、シャフトは暴れ回りながら船体から引きちぎられました」


重子:

「痛そう……。ていうか、大和さん可哀想。四本足のうち一本なくなったら、歩けないじゃん」


野本:

「重子さん、船なので歩きませんが、泳ぎのバランスは崩壊します。……これを『第四スクリュー欠損ミステリー』と呼びます」


山田:

「なんか推理小説のタイトルみたいだな」


野本:

「公式記録にはない被弾です。……例えるなら、飲み会の割り勘で、誰も注文していないはずの特上カルビがレシートに含まれていて、全員が疑心暗鬼になるような『見えない一撃』です」


山田:

「その例え、スケールが小さすぎて逆に分かりづらいわ! もっと国家レベルの話だろ」


野本:

「……右舷のスクリューを失い、推進力のバランスが崩れた巨艦は、悲鳴を上げながら旋回し、横転していったのです」


重子:

「野本さんの話、たまにリアルすぎてご飯が喉を通らなくなるんだよね……」


場所: ファミレス「ジョリーズ」。


亀山:

(電動ミキサーを分解しながら不機嫌そうに)

「もう、なんなのよこれ! またブレードが回んないじゃない。軸がイカれてるわよ、絶対」


野本:

「亀山さん。そのミキサーの症状は、大和の第四スクリュー脱落事故に通じるものがあります」


亀山:

「はあ? 戦艦とミキサー一緒にしないでよ。こっちはランチのスープ仕込みで忙しいのよ」


野本:

シャフトへの過度な負荷と、外部からの衝撃。……亀山さん、さっき氷を砕く時に、スプーン入れたままスイッチ押しませんでしたか?」


亀山:

「……ギクッ。や、やってないわよ。ちょっとカチンって言っただけよ」


野本:

「それが『幻の魚雷』です。……回転中の異物混入は、シャフトを剪断シアー破壊します。大和のスクリューもそうやって毟り取られたのです」


富山:

「野本さん、亀山さんを追い詰めないであげて。あと亀山さん、それ弁償もんだよ」


野本:

「右舷外軸の喪失は、船体のバランスを崩壊させました。……同様に、ジョリーズのキッチンも、このミキサーの故障によってランチタイムのオペレーションが崩壊の危機に瀕しています」


富山:

「うわ、シャレにならないまとめ方やめて」


野本:

「……消えたスクリューの謎は解けましたが、亀山さんが隠そうとしたスプーンの行方は謎のままです」


亀山:

「わかった、わかったわよ! 店長に謝ってくるわよ!」


野本:

「野本と申します。……代わりのミキサーを持ってまいります。全速前進フル・アヘッドで」


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