第118章 ― 大和改装進捗報告会議(D-117)
防衛省 地下B-7会議室
壁一面のスクリーンに、横須賀港のドックに係留された大和の艦内断面図が映し出されている。
外観は一般公開仕様のままだが、内部区画は複雑に色分けされ、改装済み(青)、作業中(黄)、未着手(赤)が明確に表示されていた。
防衛装備庁 艦艇設計班長・秋津技監
「現在、甲板上部の一般公開エリア以外は全て隔離済み。
観光客導線と作業動線を完全に分離し、夜間に集中工事を行っています」
統幕運用課長
「ドローン発艦甲板の準備状況は?」
秋津
「後部甲板右舷側、展開用リフトと回収用ネットは基礎工事完了。
今週中に耐衝撃甲板パネルを敷設予定です」
艦内通信主任
「CIC(戦闘情報中枢)は既に艦内の中心部に移設済み。
現代式のFCS-3A射撃管制と衛星通信端末の設置は、外部から完全に隠蔽可能な配置になっています」
海幕長
「兵装面はどうだ。主砲は?」
秋津
「前部主砲は残置し、動力を電動化。
後部主砲区画は完全撤去し、VLS(垂直発射装置)を48セル分搭載。
外観は模擬砲塔で覆い、観光客からは従来の形状に見えるようにしています」
官房副長官補
「米軍が疑っている可能性は?」
情報本部 海外対策室長
「既に衛星からの監視は増えていますが、外観と熱源パターンを偽装するダミー運転を続けており、直接証拠は掴ませていません」
統幕運用課長
「いいだろう。観光船としての顔を保ったまま、残り4か月で全てを仕上げる」