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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン23

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3465/3554

第42章  作戦シミュレーション:“8機編隊の5分間”



(新寺子屋・戦史講義ホール。照明が落ち、スクリーンに「SIMULATION MODE」の赤文字が点滅する)


南條

「――さて。

第2章は“本番の交戦シミュレーション”だ。


状況設定は以下の通りだ。」


スクリーンに戦場地図。


■【状況設定】


ウクライナF-16:8機編隊(2×4編隊)

・AIM-120C-7、AIM-9X、JDAM、HARM

・Low-Low-Low侵入

・高度:40〜60m

・速度:520〜560ノット

・レーダー沈黙(EMCON)

・味方地上防空のLink-16で“眼”を借りる


敵:ロシア側


● A-50U ×1

● MiG-31BM ×2(R-37M)

● Su-35 ×4(R-77-1)

● S-400 ×1バッテリー

● S-300 ×2

● Pantsir ×4

● 電子戦部隊 ×1

● 早期警戒レーダー ×多数


南條

「では、時間T=0から“5分間”の推移を追っていく。」


◆【T = 0:00】 F-16 8機、侵入開始


F-16は3点姿勢の低空飛行で地面を舐めるように進む。


地表の草木がジェットブラストで波打つ。


野田

「40メートルって……教室の高さより低いじゃないですか……」


南條

「その通りだ。

だがこれより高く飛ぶと、A-50の側方レーダーの“下縁”に引っかかる。」


富沢

「あっちが“空全体を見てる”から、こっちは“地面スレスレで隠れる”のね」


◆【T = 0:35】 A-50、F-16の“ノイズ”を拾う


A-50のオペレーター

「南西方向、ノイズ……固定物か? いや……移動している……」


南條

「A-50はF-16を“完全には見えない”。

だが“気配”は捉えられる。

だからロシアは“MiG-31を前に出す”。」


◆【T = 1:10】 MiG-31BM、R-37M発射準備


MiG-31BM(高度11,000m)

「ベアリング045、距離280、ノイズ反応へ照準。R-37M 2発準備。」


亀田

「ちょっと! 280km離れてるのに照準できるの!?」


南條

「R-37Mは“ロケットではなく半ミサイル半迎撃機”。

推力が大きく、最終速度はマッハ6を超える。」


山本

「じゃあ当たらなくても撃たれるだけでF-16が動きを制限される……?」


南條

「その通り。

F-16はここで高度をさらに落とす。

地表20〜40mへ。

“R-37Mのレーダー捕捉に入らない高度”だ。」


富沢

「低空で地面ギリギリって……もうヒヤヒヤの世界……」


◆【T = 1:50】 F-16、レーダー沈黙のまま“地形影”に入る


ウクライナの地上レーダー(NASAMS部隊)

「F-16編隊、地形影の中。位置追尾継続。敵MiG-31は北上中。」


南條

「F-16は“自分で見ずに味方に見てもらう”。

これがネットワーク戦の本質だ。」


◆【T = 2:20】 ロシア、S-400が起動


ロシア防空レーダー

「ターゲット推定進路に対し、S-400照準エリア調整!

全ミサイル迎撃態勢!」


亀田

「うわぁ……もうバレてるじゃない……」


南條

「正確な位置はまだバレていない。

だが“S-400を起こす”だけでF-16のリスクは跳ね上がる。」


◆【T = 3:00】 F-16、攻撃目標へ到達(JDAM/HARM)


スクリーンに標的が映る。


● ロシアのレーダー車両(92N6E)

● ロジ拠点・弾薬庫

● 電子戦装置(Krasukha)

● 前線指揮所


南條

「F-16の役割は“空を取る”ことではなく、

ロシアの空戦能力そのものを切断すること。

そのための最優先目標は、“見張り役のレーダー車両”だ。」


◆【T = 3:10】 HARM発射(4本)


F-16によるHARM(AGM-88)発射。

白煙の軌跡が地上へ伸びる。


南條

「HARMは“レーダーがONのままならほぼ必中”だ。

ロシア側は“消すか、撃つか”の二択になる。」


富沢

「レーダーを消したらF-16が見えない。

つけたらHARMが飛んでくる……

ほんとに“鬼ごっこ”なんだ……」


◆【T = 3:40】 S-400、ミサイル発射


ロシア防空

「S-400、48N6DM 3発発射!」


轟音。巨大SAMが雲を突き抜ける。


野田

「来た……! これ、F-16どうやって避けるんですか……!?」


南條

「F-16はミサイルより低く飛んで、地形で“遮る”。

つまり“真上から落ちてくるミサイル”を避けるため、

谷や丘の陰に飛び込む。」


亀田

「そんな……ジェット戦闘機で地形の陰を選ぶなんて……」


南條

「だがそれをやるしかない。」


◆【T = 4:20】 JDAM投下(10発)


JDAM(GPS誘導爆弾)が投下される。

滑空しながら指定座標へ向かう。


南條

「JDAMは“投下した瞬間に任務完了”だ。

F-16はもう高価値目標へ向けての精密打撃を果たした。」


◆【T = 4:40】 Su-35 ×4、F-16を迎撃へ


ロシアSu-35(高度6,000m)

「前方20kmに低空反応。R-77-1準備!」


山本

「ここで空中戦!?」


南條

「いや、ここで空中戦はできない。

F-16は “撃たれる前に逃げる”。

AMRAAMのC-7では撃ち負けるからだ。」


◆【T = 5:00】 F-16、離脱開始


F-16編隊

「全機、右旋回。加速。低空維持で退避!」


南條

「F-16は空中戦をしない。

“攻撃して、逃げ切る”

これが任務だ。」


■【T = 5:15】 ロシア側の被害推定


シミュレーション結果がスクリーンに出る。


● 92N6Eレーダー車両 ×1:破壊

● 電子戦装置 ×1:損傷

● 弾薬庫 ×1:損失

● S-400の“指揮統制能力”が一時的に低下


南條

「F-16にとって最大の戦果は

“S-400の目を潰す”

ことだ。」


■【退避後評価】


F-16:1機損失(S-300V4の推定命中)

F-16:2機中破(近接SAM)

帰投成功:5機

作戦成功率:60〜70%


南條

「ウクライナ空軍の“死なずに帰る”確率は、

この作戦で6〜7割だ。」


野田

「……そんな、ギリギリの世界なんですね……」


南條

「そうだ。

だがこの“6〜7割”が、

ウクライナの地上戦力をずっと支えてきた。」


■【講義終盤:総括】


南條

「F-16は“無双”ではない。

むしろ“ロシア防空の牙の中で、死なずに任務を果たす”ための

極限運用だ。


だが――

この極限作戦が成功するたび、ロシアの空軍力は徐々に剥がれていく。

S-400の目、Su-35の指揮系統、MiG-31のCAP。

どれも永遠には維持できない。」


富沢

「一回じゃ戦争は変わらないけど……

百回積み重ねたら“空の形”が変わる……?」


南條

「まさにそれだ。」


■【ラスト質疑応答】


野田


「F-16って、地上にいる兵士たちの“盾”なんですね……」


南條

「その通り。」


亀田


「Su-35とまともに戦わないって決めてるの、逆にすごいわね……」


南條

「勝てない戦闘をしないのがプロの空軍だ。」


小宮部長


「じゃあF-16が増えたら、ロシアの進撃って止まりやすくなる?」


南條

「“止まる”ではなく

“遅くなる”。

だが、その遅延こそが地上軍を救う。」


重松


「MiG-31みたいな“長距離殺し屋”にはどう対処するんですか?」


南條

「対処はただ一つ――

“見つからない”ことだ。

F-16はステルスではないが、戦術で姿を隠す。」




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