第36章 レオパルト2A6 ②
【第2章】
〈戦術レイヤー〉
レオパルト2A6:都市戦での“強み”と“死角”
――シールドと巨人の間にある、戦車の現実
https://ja.namu.wiki/w/より引用
■1 「強い戦車」の代表が、都市ではなぜ苦しむのか
VR空間に、
レオパルト2A6の立体モデルが浮かび上がる。
巨大な砲塔、長いL55砲身、弾むような履帯、複合装甲の厚い眉間。
その姿は確かに強い——
だが南條は最初に「強み」ではなく「弱点」から語り始めた。
南條
「まず理解すべきは、
“レオパルト2A6は都市戦に向けて作られていない”
という事実だ。」
富山
「えっ……でも現代最強って聞きますよ……?」
南條
「“平原”では最強だ。
だが都市戦は“別の生態系”だ。
サメを砂浜に上げれば弱いのと同じだ。」
野本
「……生態系……」
■2 レオパルト2A6の“強み”から分析する
南條がまず“強い側”を説明する。
★《強み1:120mm L55砲 ― 現代戦車最高スペックの貫通力》
スクリーンにAPFSDS弾が映る。
長く細いタングステンの矢のような弾体。
南條
「レオパルト2A6の砲はL55、50口径より5口径長い。
つまり“より長い加速距離で発射できる”。
その結果……
最新のロシア主力戦車の正面装甲を貫ける“数少ない砲”になる。」
山田
「……都市でこの威力が使えるんですか?」
南條
「使えない。
狭すぎて撃てない。」
全員
「……えっ?」
★《強み2:複合装甲 ― 正面からのATGMに対して無類の強さ》
前面の防楯、砲塔前面、車体上部。
圧巻の防御力。
南條
「ロシアのコルネット級でも、
正面からは“当たり所が悪い”と弾かれるレベルだ。」
重子
「じゃあ都市でも正面は安全……?」
南條
「都市戦で正面から撃たれることは少ない。」
皆、黙る。
★《強み3:熱線映像の絶対的優位》
砲手が見た熱線映像が再登場。
煙・埃・光の乱れの中でも、敵の熱源だけが浮かび上がる。
南條
「都市で最も頼れるのはサーマル。
夜、火災、煙でも敵を見られる。
これはソ連系車両とは格が違う。」
野本
「じゃあ夜の市街戦では強い……?」
南條
「強い……が、
“見える”=“対処できる”ではない。
後ろ・横・上はどうしようもない。」
■3 ――ここから“都市が戦車を殺す論理”が始まる
南條は指し棒で、
レオパルト2A6の砲塔の“側面”を叩く。
コンッ……
金属音がVRホールに響く。
南條
「都市戦で戦車を殺すのは、必ず“側面か上面”だ。」
■4 都市戦の“致命的限界”①
〈死角の多さ:戦車は“見えていない場所”だらけ〉
スクリーンに4つの視界(車長・砲手・操縦手・装填手)が再表示される。
南條
「第1章で体験しただろう。
戦車の視界は“狭すぎる”。
都市ではこれが致命傷になる。」
●死角1:右前方45°
砲塔の基部と車体形状の関係で、
レオパルト2A6は右前方に“見えづらい角度”が存在する。
●死角2:車体真横
高い建物で、側面に近づく敵を発見できない。
●死角3:真後ろ
バックカメラが無い車両も多い。
●死角4:真上(最悪)
屋上からのNLAW、RPG、IEDの落下物に無防備。
亀山
「……上……?
上なんて絶対見えないじゃない……!」
南條
「だからこそ、
都市戦の敵は“上”に陣取る。
RPGを撃つのに最適な角度だ。」
■5 都市戦の“致命的限界”②
〈側面装甲の弱さ:強さの非対称構造〉
南條は砲塔を側面から見せる。
南條
「いいか?
レオパルト2の正面装甲は“現代最強級”。
だが側面は……」
指し棒で“薄い部分”を叩く。
コン…コン…
音が軽い。
南條
「RPG-7の最新弾頭で貫通しうる。
ましてコルネットやメティスMなら“即死”。」
重子
「……じゃあ都市戦じゃ……本当に危険……」
南條
「都市戦では、
敵は必ず“側面”か“背面”を撃つ。
戦車は逃げ場がない。」
■6 都市戦の“致命的限界”③
〈L55砲身の“長すぎる”という弱点〉
スクリーンに、
L55砲身が建物の角に引っかかって動けなくなったシーンが映る。
富山
「あっ、砲身が建物に当たってる!曲がっちゃう!」
南條
「レオパルト2A6の砲は、
従来のL44より“1m以上長い”。
これが平原では強いが、都市では最悪だ。」
■長砲身の欠点
•交差点で曲がる時に“砲身が建物に接触”
•砲塔旋回角が制限される
•敵の狙撃ポイントに“砲身が先に出る”
•逆に敵が“砲身を狙って動きを止める”戦術も可能
山田
「砲身狙えば止まるの……?」
南條
「砲身が歪んだら砲撃不能。
“実質無力化”だ。」
■7 都市戦の“致命的限界”④
〈RPGの飽和攻撃:安い武器が強くなる〉
複数方向からRPGが飛んでくるVRシーンが映る。
ビルの窓。
屋上。
路地裏。
バスの影。
南條
「都市では1人のRPGではなく、
“3方向から同時に撃たれる”。
複合装甲は“1点には強い”が、
連続ヒットには弱い。」
亀山
「そんな……」
南條
「都市は“戦車殺しの迷宮”だ。
階層・角度・距離が無限。
どれもRPGにとって理想的な環境だ。」
■8 都市戦の“致命的限界”⑤
〈履帯破壊=死〉
VRで地雷・IED・RPGが履帯に直撃。
戦車が傾く。
南條
「レオパルトの履帯は丈夫だが、
都市戦では不意の爆発で簡単に止まる。
履帯が千切れたら“動けない巨人”になる。」
重子
「動けなかったらどうなるんですか……?」
南條
「死だ。
脱出しても狙撃、爆破、火炎瓶。
動けない戦車は“鉄の棺桶”。」
皆、息を飲む。
■9 “理想的状況”が存在しないのが都市戦
南條はホール中央で語る。
南條
「レオパルト2A6は強い。
だがその強さは“平原”限定だ。
都市はそれをすべて奪う。」
南條は一つ一つ指折り数える。
•十分な視界 → 無い
•長距離射撃 → 通じない
•正面の強装甲 → 側面・上面から狙われる
•機動力 → 瓦礫で殺される
•射角 → 建物で制限される
•長砲身 → 取り回せない
•歩兵随伴 → 市街地でバラバラになる
•情報優位 → ビルで遮られる
野本
「……“弱点の集合体”に見えてきました……」
南條
「都市戦とは、
“強い兵器を弱くし、弱い兵器を強くする”地形だ。
戦車はその典型だ。」
■10 しかし“強み”は都市でも死んでいない
南條は語気を強める。
南條
「勘違いするな。
レオパルト2A6が弱いのではない。」
彼はVRで“正しい運用”を見せる。
★都市戦での“強みの生かし方”
① 歩兵随伴
→ 歩兵が周囲を“目”となる。
→ これで死角問題が大幅に改善。
② ドローン偵察
→ 屋上・路地・地下入口の敵を事前に見つける。
③ 突破より“盾”として使う
→ 120mm砲で建物を破壊し、歩兵の前進を援護。
④ 遠距離市街狙撃
→ 熱線映像と安定化装置は“市街の狙撃”に強い。
小宮部長
「つまり……都市でも“使い方次第”で強いんですね……?」
南條
「そう。
戦車は万能ではないが“必要不可欠”。
ただし、
戦車の強さは乗員の連携と歩兵との結びつきで決まる。
都市戦はその真価が問われる。」
■11 次章予告:
“戦車は何を失い、何を残したか”
南條が最後に静かに言う。
南條
「第3章では、
レオパルト2A6という兵器が“都市戦で失ったもの”
そして“それでも残した意味”
を分析する。
戦車はもう“突撃の王”ではない。
だが……
戦場から消えたわけではない。
都市が戦車を変えたのだ。」
生徒たちの表情は、
恐怖と理解と尊敬が入り混じった、
複雑な色をしていた。
――第2章 了。
次は 第3章(戦車が都市で何を失い、それでも何を残したか/約4000字) を執筆してよろしいですか?




