第34章 ハイマース(HIMARS)②
■第6章 敵側の心理崩壊:“死に方が分からない”という絶望
https://forbesjapan.com/articles/detail/77621より引用
スクリーンにロシア側兵士のインタビュー(文字表示)が出る。
「……静かな夜に突然、天井だけ落ちた」
「爆撃の音がしないから、いつ来るか分からない」
「対空砲も、戦闘機も役に立たない」
「避ける方法がない」
【重子】
「……“避けられない攻撃”って……人間の精神に最悪……」
【南條】
「心理学では“逃避不能ストレス”と呼ぶ。
爆撃機ならサイレンで心の準備ができる。
砲撃なら音で方向が分かる。
HIMARSにはそれがない。」
山田
「……“警告のない死”……」
南條
「都市戦は心理戦だ。
HIMARSは、
物理破壊以上に“敵の精神を殺す”兵器だ。」
■第7章 都市兵站への打撃:1発で“都市機能”が崩壊する
スクリーンに鉄道ハブが表示される。
南條
「都市戦で最も破壊力が大きいのは……
施設破壊ではなく“機能破壊”だ。」
HIMARSは
・鉄道スイッチ場
・送電設備
・燃料ラック
・橋梁の基礎
・通信塔
を狙う。
1箇所破壊するだけで——
•旅団の補給が1〜2日止まる
•戦車部隊が燃料不足で動けない
•司令部が通信喪失
•都市全体の活動リズムが乱れる
【小宮部長】
「都市って……“点”が壊れるだけで全部止まるんですね……」
【南條】
「その“点”を3m誤差で殺せるのがHIMARSだ。」
■第8章 夜間都市での「HIMARS恐怖症」
ウクライナの市街地の夜——
街灯が揺れ、窓ガラスが震える。
その瞬間に市民は
「今のはHIMARS?
それともロシアのミサイル?」
と口々に言う。
富山
「……防ぐ側も、撃つ側も、住民も……
全員がHIMARSを恐れてる……」
南條
「HIMARSは“攻撃”と“防御”の心理を同時に操作する。
都市戦の心理戦争の中心にいる兵器だ。」
■第9章 多層連携:HIMARSは単独では動かない
南條
「HIMARSは“精密ドローン戦争の司令塔”だ。
単独では絶対に使わない。」
連携先:
•小型ドローン(監視・座標提供)
•SIGINT(通信傍受)
•宙空ISR(衛星)
•特殊部隊の観測班
•妨害電波部隊
【南條】
「精密打撃とは“情報戦のゴール”だ。
HIMARSはゴールキック。
プレイは情報部隊が作る。」
■第10章 実戦VR:都市高架橋の“ギリギリ迎撃”
シミュレーション開始。
目標:
都市外縁の鉄道高架橋(敵補給路)。
距離:72km。
夜。
敵の防空レーダーあり。
作戦:
1発で補給路を止める精密破壊。
▼攻撃開始
HIMARS発射。
ロケットは都市の灯りの上を静かに通過し、
高架橋の基部に直撃。
——橋脚が崩れ、
——鉄道車両がゆっくりと横倒しになる。
——都市の空気が数秒遅れて振動する。
亀山
「……壊れた……けど……周りは無傷……
本当に“点”で破壊してる……!」
南條
「都市戦のHIMARSは“点で絞って、面を止める”。
それが戦略級の意味だ。」
■第11章 まとめ:HIMARSが変えたのは、建物ではなく“都市の心拍”
小宮部長
「HIMARSって……“都市の心臓”を狙ってくるんですね……」
南條
「そうだ。
HIMARSは都市の
呼吸(電力)
鼓動(交通)
神経(通信)
を正確に狙う。」
野本
「……都市が……生き物みたいに見えてきました……」
南條
「都市は生き物だ。
HIMARSはその弱点を、
**ミリ単位の精度で刺せる“メス”**だ。
だが——」
南條は全員を見る。
【南條】
「このメスを“守るために使う”か、“殺すために使う”か。
それを決めるのは、いつも人間だ。」
静寂。
街を破壊した光景より重い沈黙が、
ホール全体を満たした。




