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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン23

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3453/3466

第30章 NLAW②

■トップアタック:天井装甲への“落下弾道”

スクリーンが鳥瞰視点に切り替わる。

ミサイルが低空を飛び——

戦車の真上で突然、下向きに爆発する。


挿絵(By みてみん)


https://www.turbosquid.com/3d-models/3d-nlaw-next-generation-light-antitank-weapon-model-1981712より引用


【富山】

「落ちた……ミサイル、上を通って……落ちた……!」


【南條】

「NLAWのトップアタックは『上を飛び越えて爆発する』方式だ。

戦車は上からの攻撃に最も弱い。

だから——最短距離で確実に殺せる。」

(野本が耐えきれずに目をそらす。)


■市街地伏撃:角の陰・一撃離脱

(VRが“キエフ郊外・ブチャの市街地”に切り替わる。)

建物の影に潜む射手視点。

遠くからT-72B3の砲塔の影が近づいてくる。


【南條】

「いいか。

ここでは“撃ったら死ぬ”。

戦車の同乗歩兵が角を警戒している。」


【重子】

「……怖い……。」

南條

「怖いまま動け。

膝を震わせながらでも、照準を合わせろ。」


▼実戦:2秒追従 → 発射 → 逃走40秒以内

(角から半身を出し、全員がNLAWを構える。

戦車が横切ろうとする。

履帯の雷鳴のような音が腹に響く。)


【野本】

「2秒……2秒だけ……!!」

(野本、照準。重子も震えながら照準。

亀山は顔をしかめ、1秒半で妥協して撃つ。)

——発射。

ミサイルは建物の隙間を滑るように飛び、戦車の真上で爆発。

車体が揺れ、煙が上がる。)


【山田】

「命中……した……!!」


▼直後:逃走

(しかし敵砲迫が飛んでくる。)


南條

「逃げろ!

座ってる暇はない!

撃った場所は即座に特定される!!」

(全員、建物裏へ走る。)

だが——

シミュレーションの計算は冷酷だ。

《ピシャァァン!》

破片が飛び散り、亀山と富山が“戦死扱い”で倒れる。


【亀山】

「えっ……うそ……私、1秒半で撃ったから……?」


【南條】

「照準不足で発射角がズレた。

結果、敵戦車が破損に留まり、生存兵がコーナーを制圧した。

1秒の妥協は部隊全滅に繋がる。」

(富山、震えた声。)


【富山】

「……戦争って……こんな……わずかの差で……?」

南條

「そうだ。

1秒の迷いが、世界を変える。」


■ “素人にも人を殺せる力”を与える兵器の倫理

(全員が演習後の座席に戻る。

スクリーンには、破壊された戦車と、逃げ惑う避難民の影が映る。)


【野本】

「ジャベリンは……まあ、難しいから“兵士の訓練”って感じだったけど……

NLAWは……怖い。

“私みたいな素人でも、当てられる”っていう怖さがある。」


【南條】

「それがNLAWの本質だ。」

(南條が歩きながら言う。)


【南條】

「NLAWは“扱いやすさ”と“殺傷効率”が極端に高い。

だからこそ——

世界の都市に大量投入された時、何が起きるか。

それを考えなければならない。」

(重子が涙をこぼす。)


【重子】

「……兵器って……怖いからこそ……

正しく扱わないといけないんですね……。」


【南條】

「兵器は正しく扱っても悲劇を生む。

だが“知らないまま握ること”が最悪だ。」

(小宮部長が深く頷く。)


【小宮部長】

「……理解するって、こんなに重いんですね……。」


【南條】

「重い。

だが、この重さを知らない者が“戦争の判断”をすると、

必ず間違える。」

(スクリーンが暗転する。)

■《NLAW完全訓練編・了》



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