第28章 ジャベリン③
■第5章 実戦モード:ウクライナ前線の地形へ
https://www.littlearmory.jp/product/detail.html?id=la103より引用
(場面が切り替わる。
イルピンの破壊された高層住宅。
ハルキウの林帯。
ドネツク郊外の塹壕。)
【野本】
「……ここ、ニュースで見た……。」
【富山】
「本当に、こんな所で……撃ってるんだ……?」
南條
「世界各国がウクライナに何を送ったかを知るには、
“その武器が実際に使われた場所”を見る方が早い。」
▼実戦シーン:T-72B3を捕捉
(熱画像に戦車が映る。砲塔がゆっくり旋回している。)
南條
「撃て。
ただし建物の屋根が邪魔だ。
トップアタックでは引っかかる。
モードを“ダイレクト”に変えろ。」
(野本が迷いながらモード切替を行い、撃つ。)
■命中
(爆炎。砲塔上部から光が漏れ、白い煙が上がる。
乗員の生存は絶望的。)
(野本が震える。)
【野本】
「……先生……私、これで……
中にいた人、死んだんですよね……?」
【南條】
「そうだ。
兵器は“敵を殺すために存在する”。
だが君が撃たなければ——
“君が死ぬ”か、“ウクライナの誰かが死ぬ”。」
(重子が口元を押さえる。
亀山は目を閉じる。
小宮部長だけが耐えるように、拳を握っている。)
■第6章 まとめ:兵器を扱えることと、理解することは違う
【南條】
「君たちは今日、
“ジャベリンを撃つ”という行為を体験した。
だが——理解したとは言えない。」
(静かに歩きながら全員を見る。)
【南條】
「兵器は、
“操作の簡単さ”と
“結果の重さ”が、
歴史上もっとも乖離した時代に入った。」
【橋本副部長】
「……誰でも殺せるけど、
誰もその重さを背負えない……ってことですか?」
【南條】
「背負えない者が撃てば戦争は長引き、
背負える者が撃てば戦争は終わる。
——ただし、その“背負う力”は訓練でしか育たない。」
(野本が涙を浮かべながら問う。)
【野本】
「……南條先生。
私たちは……こんな現実を知って……どうすれば……?」
南條
「知った上で、考え続けることだ。
兵器と戦争は、
“知ろうとしない人間”によって最も危険になる。」
(VR装置の光が消え、静寂が訪れる。)
■《ジャベリン訓練パート・了》




