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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン2
332/2172

第97章 意図せぬ勝利


模擬戦から数日後。

古村は再び模擬CIC室にいた。

今回は「電子戦訓練」。敵役は最新型イージス艦を想定し、こちらは僚艦と護衛艦1隻ずつ。

任務は敵のミサイル攻撃から輸送船団を護ることだった。


「敵はECM(電子妨害)を使用してきます。レーダーはノイズだらけになります」

杉浦二佐が説明し、コンソールの一部が意図的に砂嵐のような映像に切り替わった。


古村はスクリーンを眺めたが、妨害下では赤い三角形すら表示されない。

ほとんどのオペレーターは対電子戦マニュアルに従い、再探知モードに切り替えようとしていた。


だが古村は、何も表示されない海図をじっと見つめていた。

海図の上には、わずかな航跡データの欠片がノイズに紛れて残っていた。


「……敵は、この方角から来る」

古村は指を一つの方位に向けた。


杉浦が眉をひそめる。

「根拠は?」


「煙の匂いはせんが……動きが、あの頃の雷撃隊に似ている」

古村の声は淡々としていた。


オペレーターにその方位を重点監視させた結果、

わずか30秒後、ジャミングの隙間から敵ミサイルの発射光が捉えられた。


「捕捉!」

即座に迎撃ミサイルが発射され、敵の初弾はすべて海上で爆散した。


訓練終了のアラームが鳴り、室内にざわめきが広がった。

「……あのジャミング下で方位を特定できたのは初めてですよ」

杉浦は呆れたように笑い、古村の肩を軽く叩いた。


古村は小さく頷いた。

「艦も海も変わったが……人の癖は変わらんらしい」




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