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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン23

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第127章 古代兵器編




――ファランクス密集戦とエジプト戦車の地獄訓練



(新寺子屋訓練棟。巨大スクリーンの前に、例のメンバーが勢ぞろいしている。「TACTICUS-SIM β版」と表示されたロゴが青白く輝く。)


南條講師

「はい、では本日から“古代兵器・実体験シミュレーション”を開始します。

注意点として、このβ版は“負傷ダメージの代替感覚”が三種類あります。」


(野田が恐る恐る手を上げる)


野田

「せ、先生……あの“代替感覚”って噂の……?」


南條

「ええ。接触系ダメージは“くすぐったさ”、

切創・圧迫系は“痒み”、

衝撃・打撃系は“臭気”になります。」


富沢

「臭気って……どんな臭気なんだろ。戦場の……?」


南條(淡々)

「説明は以上です。では始めましょう。」


(全員)

「いや説明になってない!!」


──────────────────────────


■第1節 ホプリタイ装備と方陣の“本当の重さ”


スクリーンが瞬時に切り替わり、

古代ギリシアの乾いた大地と、青い海の向こうに広がる丘陵が現れる。


同時にキャラクターたちの身体に、

**重すぎる装備が“自動装着”**される。


野田

「む、むり……重いです……腕が……!」


南條

「それがホプリタイの基本装備です。

胸甲5kg、円盾ホプロン7kg、ドーリ3kg。

合計15kg前後ですが“片側に重心が寄る”ためバランスは最悪です。」


富沢

「ほ、ホプロン……これほんとに片手で持つんですね……」


南條

「はい。盾は“武器”です。

押し込む、ぶつける、隊形を支える。

防御というより攻撃的装備ですね。」


亀田(震えながら)

「足のすね当て(グリーヴ)、どれだけ硬いんです……?

これで走れって正気じゃ……」


南條

「その“正気じゃなさ”を体験するのが、このプログラムです。」


──────────────────────────


■第2節 ファランクス密集戦 ――「人間が壁になる」現象


フィールドに味方の50名ホプリタイが並び始める。

野田たちは三列目に配置された。


南條

「ファランクスの核心は“密度”です。

隊列の乱れは死を意味します。

では、前へ――押し合ってください。」


(味方兵士が、背中を押してくる。強烈な圧力。足が勝手に動く。)


野田

「きゃっ……! 待って! 近い近い近い近い!!」


富沢

「これ、ほんとに押されるんだ!? 肋骨が……!」


亀田

「後ろの人の槍の柄が首にぐりぐりするんですが……っ」


南條(淡々)

「それが“古代戦争の現実”です。

個人戦ではなく“押す圧力の合計”が勝敗を決めます。」


――前方。

敵ファランクスが迫る。

槍の森が重なり合い、盾がぶつかり、

**戦場特有の“圧縮音”**が響く。


南條

「はい、接触します。」


(ドンッッッ!!)

強烈な衝撃。野田の盾に敵槍がかすめる。


野田

「ひゃああああああっっ!?!?」


体がけいれんし、その場に崩れ落ちる。

くすぐったさ判定:戦死。


富沢

「ちょっ!? 野田さん早すぎる!!」


南條

「槍の“擦過”はTickle判定ですから。妥当です。」


(富沢の盾の隙間に槍先が入り、太ももに軽い衝撃)


富沢

「んっ……!?な、なにこれ……っ、痒い……ッ痒いぃぃ!!」

(地面を転げ回る)


南條

「それはItch判定です。刺突系ですね。」


亀田

「先生、この判定システム絶対バグってますよね!?」


南條

「開発チームが“体験のリアリティ”を追求した結果です。」


(敵方陣が前進し、亀田の盾に敵槍が直撃)


亀田

「うわっ!!! 臭っっ!!! なにこれ!? 臭ッッッ!!!」

(鼻を押さえながら崩れ落ちる)


南條

「衝撃系はStench判定。衝撃波を“嗅覚刺激”に変換しています。」


亀田

「嗅覚刺激で衝撃波を再現しないでくださいよ!!」


──────────────────────────


■第3節 突然の追加ミッション:エジプト戦車部隊の突撃


(シミュレーション空が揺れ、舞台が切り替わる)


南條

「後半は“複合兵科戦”を体験してもらいます。

エジプトの軽戦車が側面から突入します。」


副部長

「えっ、あれ、私たちの味方……?」


南條

「いいえ、あなた(副部長)が乗ります。」


副部長

「なんで毎回私なのぉ!!」


(エジプト戦車が自動召喚され、彼女だけ乗せられる)


南條

「戦車は御者+弓兵の2名構成ですが、今回はAIが御者です。

あなたは弓兵役です。」


副部長

「いやですいやです!!

こんなバネみたいな弓、絶対おかしい強度でしょ!!」


南條

「複合弓は木・角・腱を重ねた構造で、

単純な木製弓より3倍のエネルギーを蓄えます。」


副部長

「真面目な説明しながら戦わせるのやめて!!」


(戦車発進!! 急加速 → 副部長、後方へ引っ張られる)


副部長

「あああああああああああああああ!!!」


弓が振動して鼻先に軽く当たる。


副部長

「くっ……ふ……ッ……くすぐったいぃぃぃぃ!!!」

(戦車上で悶絶→落下→戦死判定)


南條

「振動によるTickle判定ですね。」


富沢

「先生、これ戦場じゃなくて罰ゲームじゃない?」


──────────────────────────


■第4節 ファランクスが崩れる瞬間を“身をもって学ぶ”


残っているのは部長だけ。


敵戦車の矢が降り注ぎ、

部長の盾の縁に矢が当たる。


部長

「く……! でも私は倒れませんよ……うっ……?」


異臭。


部長

「くっさ!! くっさ!!!! なんですかこれ!!!??

ちょっ、ちょっと……む……無理……ッッ」


――部長も崩れ落ちる。


南條

「はい。Stench判定で戦死。

まあ、ファランクスが戦車と弓兵を同時に相手取ったら

基本的には崩壊します。」


(全員)

「冷静に分析してる場合じゃない!!」


──────────────────────────


■第5節 講義まとめ:古代兵器の“構造”は体験してこそ理解できる


戦場が消え、白いシミュレーション空間へ戻る。


南條

「お疲れ様でした。

皆さん、身体は無事ですが、精神的には……まあ……」


(全員、床に座り込みながら疲労困憊)


南條

「今回の訓練で理解してほしいことは三つです。」


(指を折りながら)


1. ファランクスは“個人戦闘”ではなく“圧力の戦争”

→ 押す力・隊形維持が死活的


2. 戦車は“古代の高速火力プラットフォーム”

→ 弓兵×高速移動の恐怖


3. 古代戦争は“物理”で決まる

→ 槍の届く距離、盾の角度、戦車の旋回半径


南條

「兵器構造を知るには“触れて動かす”のが一番です。

次回は、中世騎士と攻城戦を体験していただきます。」


全員

「……次回も、悶えるやつですよね……?」


南條

「もちろん。」


全員

「もちろんじゃない!!!!」


──────────────────────────


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