第76章 Dday-180 都内大学生
キャンパスのベンチにて
昼休み、大学構内のベンチで4人の学生がスマホを覗き込みながら話している。
「マジで半年以内に台湾侵攻って…これヤバくね?」
「え、でもああいうのって煽り記事じゃないの? YouTubeとかもやばいサムネばっかだし」
「でもさ、俺ん家の親、もう米とか缶詰買いだめしてるぞ。しかも父ちゃん自衛官OBだから余計リアルっぽい」
「それガチじゃん…てか授業中止とかになったらオンラインになるのかな」
笑いながらも、全員の指はSNSのスクロールを止めない。
大学近くのカフェ
テーブルに広げたノートの横で、女の子が小声で話す。
「このニュース、インターン先の上司も朝からざわざわしてた。台湾工場から部品来ないと仕事回らないらしい」
「へえ…それって経済的にってこと?」
「そう。部品止まったら給料もヤバいかも、って」
「なんか戦争って遠いと思ってたけど、急に近くなった感じするな」
外の通りを走る救急車のサイレンが一瞬会話を切った。
ゼミ室での雑談
「もし本当に侵攻あったらさ、沖縄とか自衛隊めっちゃ動くんでしょ?」
「動くってか、米軍もいるし。下手したら日本も巻き込まれるんじゃない?」
「てかこれ、また徴兵制とか言い出すやつ出てくるやつじゃん」
「それはないって…多分」
最後の一言は自信なさげで、教室の窓から見える都心のビル街が妙に遠く感じられた。
帰り道の駅ホーム
電車を待つ間、男子学生二人が並んでスマホを見ている。
「株やば…防衛関係全部上がってるじゃん」
「こういう時だけ儲かる業界ってあるんだな…」
「なんかさ、ニュースは現実感ないけど、この数字はリアルだよな」
発車ベルが鳴ると、二人は会話を切り上げ、それぞれ別の車両に乗り込んでいった。