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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン2
304/2311

第75章 超巨大プロジェクト始動

《極秘会合記録 第9回裏会議》

開催日時:令和8年(2026年)7月18日 19:30–23:55

場所:防衛省 地下B-7会議室

議題:「Y計画および大和再武装計画統合方針について」


(会議室の扉が閉じられ、電子ロックの赤ランプが灯る。参加者は全員、事前に提出した通信端末を没収され、机上には極秘資料だけが置かれている)


長机を囲むのは、防衛大臣、統合幕僚長、海幕長、防衛装備庁長官、内閣官房長官、そして呉から異動してきた大和乗員代表と海自現役士官たち。


官房長官が資料を開く。

「まず、週刊誌の報道——台湾侵攻が半年以内という件だが、結論から言う。

米インド太平洋軍の評価では発生確率は85%以上。D-Dayは令和9年1月から4月の間と見ている」


室内の空気が一段冷えた。


統合幕僚長

「これを受け、政府はY計画を前倒しする。

……諸君には伏せていたが、Y計画とは大型正規空母建造計画だ。

だが現状、空母本体は間に合わない。代わりに——完成済みの主要機器、兵装、主機を大和に移植する」


呉出身・大和航海長(元海軍中佐)

「……移植? 我々の艦に?」


防衛装備庁長官

「そうだ。

VLS、統合マスト、C4ISRシステム、近接防御システム、極超音速対艦ミサイル搭載プラットフォーム……すべてY計画のために設計された最新鋭装備だ。

排水量は当初予定していた空母よりも大和のほうが二回り大きい。スペースは十分確保できる」


海幕長

「条件は厳しい。完成期限は令和9年1月。

半年で移植、艦内部の補強・強化工事を同時並行で行う必要がある。

平日と夜間は全面改修、土日祝は記念館として上部甲板と艦橋のみ一般公開を続ける——これは国民と国際社会へのカムフラージュだ」


大和機関長(元海軍大尉)

「半年で……? それは、艦を建造するより難しいのでは」


防衛装備庁長官

「その通りだ。

だが、やる。国家予算は宇宙開発計画に匹敵する規模で投入する。

関係する技術者、造船所、電子機器メーカー、防衛産業の総力を結集する」


官房長官が最後に言葉を重ねる。

「今日この瞬間から、Y計画と大和再武装計画は統合される。

戦後最大の巨大国家プロジェクトだ。

これを成功させるか否かで、日本の次の百年が決まる」


誰も拍手はしなかった。

ただ重い沈黙の中、全員の胸に——これはもう後戻りできない、という確信だけが残った。

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