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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン1
30/2046

第13章 アニメ風



座礁艦隊による陸の防御線が形を成しつつある一方で、沖合では別の準備が進んでいた。

海上自衛隊と戦艦《大和》――二つの時代が織りなす「動く要塞」が、首里を守る第二防御ラインの構築に動き出していた。


首里は沖縄の心臓部。

そこには第32軍司令部が置かれ、同時に米軍が最も執拗に狙う場所でもある。

ここを突破されれば、沖縄の戦況は決定的に傾く。


「いずも」艦橋の大型モニター。

海自艦隊司令・片倉大佐は映し出された戦況図を凝視していた。

首里周辺に集結する米軍部隊、その布陣。対する日本軍の脆弱な防衛線。全てが克明に浮かび上がっている。


「……首里防衛は陸軍の最重要防衛線だ。ここを破られるわけにはいかん」

片倉は低く呟くと、隣の三条律に目を向けた。

「律。《大和》を最終砲撃位置に導け。輪形陣を組み、精密な目標情報を渡せ」


三条は、神経質そうに眉を寄せつつも即座に応じた。

「了解。大和を輪形陣中央に置き、最大射程を確保します。F35Bの偵察データと無人機のレーザー測距を合わせれば、首里周辺の米軍司令部・補給拠点への精密砲撃が可能です。さらに沖合に展開する米艦艇への同時攻撃も視野に」


片倉が頷いた瞬間、艦隊が動き出した。

イージスまやが前方に展開し、防空の盾を広げる。

護衛艦むらさめ潜水艦そうりゅうが両翼を守る。

その中央を、巨艦《大和》が堂々と進む。


無線のぎこちなさはもはやなかった。

幾度かの共闘を経て築かれた信頼が、艦隊をひとつに結びつけていた。


《大和》艦橋。

有賀幸作艦長と森下耕作副長が、海自から送られてきた詳細な指令を凝視していた。


「首里防御のための対地砲撃……加えて沖合の米艦隊への対艦攻撃を同時に、だと?」

森下が思わず声を上げる。常識を覆す作戦に、驚きを隠せなかった。


だが有賀は、静かに頷いた。

「……我々は、この機会を最大限に生かす。江島砲術長に伝えろ。――最高精度の砲撃を期待すると」


艦橋に重い沈黙が落ちた。

次の瞬間、それは決意の空気へと変わっていった。


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