表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン2
282/2347

第60章 疑念

午前6時15分。

ビーチを見下ろせる高台まで上ると、眼下に広がる光景は、想像していた「不発弾処理」とはかけ離れていた。それはまるで、厳重な警備が敷かれた軍事訓練のようだった。


白いバリケードが砂浜を囲み、その内側には、陸自のOD色オリーブドラブの迷彩服を着た隊員だけでなく、漆黒のウェットスーツに身を包んだ海自の潜水装備者も複数いた。


砂浜には、OD色の軍用コンテナを牽引した中型トラックがいくつも並べられ、その脇には、銀色の巨大な筒形ケースが置かれている。隊員たちの耳元には、タクティカルマイクが光り、無線で交信している。彼らの視線は常に周囲を警戒していた。


その日、海から引き上げられた鈍い金属光沢を放つ物体は、遥香が写真で見たことのあるような、砲弾や爆弾の形ではなかった。それは円筒状で、数メートルの長さがあり、船舶用の特殊な機材か、あるいは魚雷のようにも見えた。


隣で見ていた地元の男性が、吐き出すように呟いた。

「あれは…普通の不発弾じゃないさ」

「え?」遥香は思わず問い返した。

「そもそも、うちなんか昔もやってたけど、あんなものは見たことない。それに、普通の不発弾処理は、もっと大声で指示が飛ぶもんだ。こんな早朝に、こんなに静かにやるかね」


遥香は、この光景を記録に残したい衝動に駆られ、スマホを取り出してカメラを向けた。その瞬間、背後から私服姿の若い男が、鋭い声で言った。


「申し訳ありませんが、撮影はお控えください。ここは国の指定区域です」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ