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第59章 偽装
前夜遅く、ホテルのラウンジにいるとSUP体験スクールからメールが届いた。
「【重要なお知らせ】7月8日午前中の海岸利用について:防衛省の不発弾処理作業に伴い、都屋ビーチ周辺の立ち入りが制限されます。安全確保のため、当日の体験は中止とさせていただきます」
遥香はスマホを握りしめ、天井を見つめた。
「不発弾か……沖縄なら、まああるか」と納得しつつも、何とも言えないモヤモヤした気持ちが残った。
翌朝、6時前。
ジョギングがてら、ビーチへ続く遊歩道の手前まで行ってみた。
黄色い警告テープが張られ、陸自迷彩の制服を着た隊員が無言で立っている。
「おはようございます。不発弾処理中のため、この先の通行はご遠慮ください」
柔らかな声だったが、その目は真剣そのものだった。
小さな立て札にはこう書かれていた:
「【不発弾処理に伴う立ち入り制限のお知らせ】
防衛省・沖縄防衛局・読谷村 危機管理課
処理期間:7月8日 午前4:00〜午前8:00予定」