257/2339
【要約】第39章~第41章
【要約】「大和」の活用を巡る議論は、ついに最終段階を迎える。呉の大和ミュージアムでの会議では、旧乗員たちの不在をいいことに、商業的利潤を追求する「ホテル化」「テーマパーク化」構想が熱気を帯びて進行。
そして、首相官邸での第4回会議では、ついに「全国周遊型・海上移動式ホテル&ミュージアム」案が政府として正式に採択される。大和を「行動する象徴」と位置づけた防衛副大臣の発言は、拍手をもって迎えられた。
しかし、その裏では、まったく異なる空気が流れていた。
政府高官による「裏会議」では、副大臣の発言が「軍国主義復活」の兆候として海外メディアや中国に利用され始めたことが報告される。大和の商業利用がビジネスの枠を超え、政治的な火種に発展したのだ。
事態を重く見た政府は、副大臣を「健康上の理由」で更迭することを決定。表面的な危機は回避されたかに見えたが、大和をめぐる根本的な問題は何も解決していなかった。過去の遺産を巡る国家の思惑は、どこへ向かうのか。