第40章 未来の錨(第4回会議)
内閣官房主導で開催された第4回会議は、首相官邸地下の特別ブリーフィングルームで行われた。
参加者は防衛省、観光庁、文化庁、経済界。そして、今回も旧乗員会の代表として、有馬艦長らは参加せず、結果が伝えられるだけだった。
「これは単なる博物館ではない。戦争と平和、産業と文化、地方創生と経済的利益を横断する『移動記憶体』だ」と、文化庁長官が語る。
JAL・ANA共同提案の「航空連携型戦艦ツアー」、ディズニーシーとの「歴史AR演出」、さらには三井不動産と読売新聞社による「海上メディア・プロモーション」など、民間からの参画案が殺到した。
最終プレゼンは、ソフトバンク傘下のロボティクス研究部門からの提案だった。
「船体にAIガイド、AR記録投影、センサー付きメモリアルゾーンを組み込み、『記憶に語らせる』艦へと進化させる」
深い沈黙の後、防衛副大臣が口を開く。
「よし。本艦は、単なる展示物ではない。これは、国家と記憶と未来の『行動する象徴』であると、政府として正式に位置付ける」
拍手が沸き起こる。
こうして、「全国周遊型・海上移動式ホテル&ミュージアム複合施設」案は、すべての層の「利害」を得て正式に採択された。だが…