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第38章 提案の波紋(第2回会議)
東京・虎ノ門ヒルズのカンファレンスセンター。壁面には「戦艦大和 公開運用構想会議(第2回)」のロゴが、まるで民間ベンチャーのピッチイベントのように明るくライトアップされていた。
なお、第2回会議より、大和乗員代表4名は、オブザーバー権限では出席の意味なしと判断し、正式委員の資格を取得する江田島での4週間研修修了までは、出席を控えるとの連絡あり。
壇上には、日本最大の旅行代理店「JTB総研」企画部長・高野が立つ。
「我々は、『移動する戦艦ホテル』という、未来型観光資源の創出を提案します。全国の港に寄港し、地域経済と結びつく。観光、教育、歴史、平和のすべてを搭載した、まさに『海の文化船』です」
スクリーンには、ドローン映像による仮想寄港シミュレーションが映し出される。函館、横浜、大阪、広島、那覇……かつて艦が出撃した港々が、今や煌びやかな迎賓館として描かれていた。
「年間来場者は400万人、経済効果は数百億円規模と試算されます。ターゲットは富裕層、そして歴史に興味を持つ国内外の観光客です」
その言葉に、会場に集まった経済界の面々は静かに頷いた。