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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン20

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第22章 第4分科会 2回目 初日 ジュネーブの情景と学術的基盤の確立


イタリア・ボローニャの古都の熱狂から一転し、スイス、ジュネーブの、より冷静で技術的な空気に包まれて開催されました。


会場は、国際連合欧州本部にも近い、欧州原子核研究機構(CERN)の敷地内にある円形の会議棟、**「ユニバース・オブ・サイエンス・アンド・イノベーション」でした。CERNのシンボルである巨大な「グローブ・オブ・サイエンス・アンド・イノベーション」**が、会場のすぐ隣に鎮座しており、その木のドームとガラスの構造は、自然の力と人類の最先端技術の統合を象徴しています。


ジュネーブの秋の空は澄み渡り、会議棟のガラスと鉄骨のモダニズム建築は、レマン湖の穏やかな青と、遠くにそびえるアルプスの白い峰々を映し出していました。この場所は、ノーベル賞受賞者を生み出す純粋な物理学研究の殿堂であり、また国際的な規制や倫理の枠組みが議論される国連機関にも近接しています。この立地自体が、今回の議論の焦点を—哲学的な情熱から、精密なデータと国際的な影響力へと—移したことを示唆していました。


会議室は円形に配置され、参加者の間にヒエラルキーを感じさせない設計になっており、マルケス博士とサエキ博士が立つ演壇の背後には、巨大なスクリーンが広がり、CERNの粒子加速器を思わせる、複雑に絡み合ったXNA構造体の三次元モデルが、控えめな青い光を放ちながら回転しています。

聴衆には、前回の熱心な生物学者たちに加え、多くの計算科学者、国際的な規制機関の代表、そしてAI倫理の専門家が加わっていました。その着席した姿は、ボローニャでの熱っぽい議論の場とは異なり、高い専門性と冷静な知性を要求する雰囲気を醸し出していました。


マルケスの冒頭発言:学術的基盤の確立の重要性

ルイス・マルケス博士は、前回よりもさらに厳格なスーツに身を包み、聴衆を見渡しました。彼の声は、会議室の優れた音響システムを通じて、明確に響き渡ります。

「前回、ボローニャでは、我々の主張の本質を提示しました。それは、『進化は、AIが前提とする合理的な最適化を拒否し、非効率的な自由を追求することで進んできた』というものです。しかし、この『ゲノムの自由』という概念を、単なる詩的な主張や、哲学的な異端説に終わらせるわけにはいきません。」


マルケス博士は、壇上をゆっくりと歩きながら、力強く語りかけました。

「なぜ、我々がこの国際的な場で、この極めて挑戦的な仮説を議論する前に、まず地球の歴史—地球物理学史と地球生命史—の最新の知見を共有する必要があるのか。その理由は、我々の議論を厳密な科学的基盤の上に確立するためです。」


1. データと解釈の標準化

「一点目。現代の進化生物学、特にゲノミクスは、地球物理学的なコンテキストを抜きにしては語れません。**HICM(仮称)**の地球史記録は膨大であり、その解釈は複雑です。異なる研究グループ間で、基盤となるデータセットと、その地球物理学的・生物学的イベントの年代学的解釈に齟齬があっては、その後の分子進化モデルや計算論的予測の比較可能性が失われます。」

「最新の知見を共有することで、地球史の主要な転換点(例:スノーボールアースや大酸化イベント)の発生時期、規模、そして生命への影響に関する共通認識を確立し、議論の標準化を図ります。」


2. 学際的アプローチの促進

「二点目。本分科会には、生化学、進化生物学、計算科学、物理学、そしてAI倫理の専門家が一堂に会しています。それぞれの分野が用いる時間スケール、因果関係のモデル、そしてデータの粒度は大きく異なります。」

「地球物理学史は時間と環境の制約を提供し、地球生命史は遺伝子と表現型の対応関係を提供します。これらを統合的に共有することで、異なる学術的背景を持つ参加者間での相互理解を深め、学際的な協力を促進するための共通言語と視座を提供します。」


3. モデル構築の精度向上

「三点目。進化モデル、特に初期生命の代謝経路やXNA構造体の安定性を計算するモデルの構築には、現実の地球環境の制約条件を可能な限り忠実に組み込む必要があります。」

「例えば、初期地球の大気組成、海洋温度、そして火山活動の周期性といった地球物理学的パラメータは、分子進化の確率を大きく左右します。最新の知見を共有することは、我々が提示する分子進化の計算モデルの入力データを更新し、その予測精度と科学的信頼性を高める上で不可欠なのです。」

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