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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン17

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シーズン6 スピンオフ 衝撃と退避:F-Kill から K-Kill リスクへ


...俺は肉眼で必死に周囲の敵ATチームを探し、次の行動を指示しようとした。その時、右側面からの一発が、俺たちの砲塔側板に直撃した。


「直撃!砲塔右側面!」

爆発の衝撃波と同時に、砲塔内部で凄まじい現象が起きた。貫通孔から高速で**金属のフラグメント(スパル)**が飛び散り、顔と首に熱と無数の痛みが走った。同時に、高速の燃焼ガスと高温粒子が噴出し、車内は一瞬で白煙と焦げた臭いに包まれた。


「くそっ、見えねえ!」俺は視界を奪われ、反射的にヘルメットの酸素マスクを口元に押し付けた。

「車長、サイトが!視界系が即時曇り、汚損!完全に何も見えません!」砲手が呻いた。熱と火花が散り、周辺の配線被覆や油圧ホースなどの可燃物から火が上がり始めた。二次燃焼リスクが高い。


衝撃による断続的な加速度で、車体が激しく揺さぶられた。砲塔がわずかに回転中だったため、機構的ショックで旋回リングに偏荷重がかかり、砲塔の旋回が完全に不能化した。

「マッコイ!ハンマー・ワン、致命的被弾!」

俺は破片による一次的外傷、熱傷の痛みを感じながらも、声を張り上げた。呼吸が苦しい。爆発的な圧力変化で鼓膜がキーンと鳴っている。


30秒。車内はまるで濃霧の中だ。煙と粉塵が充満し、可視/赤外観測能力は完全に失われた。FCSや車長用表示系は全てブラックアウトし、無線機器からは断続的なノイズと通信途絶が生じている。


「ローダー、負傷確認!」

「ローダーは腕を破片でやられました!即時安全処置、簡易止血!」装填手が呻きながら自分の処置を始めた。


俺の思考は、最悪のシナリオに集中していた。「Cook-off(弾薬の二次爆発)リスク」だ。砲塔内部に格納された残存弾薬が、貫通孔付近の高温・火炎で加熱され続けている。時間が経つほど危険度が増す。二次爆発が発生すれば、Catastrophic Kill(K-Kill)、すなわち乗員の生存はほぼ不可能になる。


「全車、即時退避準備!マスク着用!」

機械機能の喪失は明白だ。主砲は固着し、攻撃能力はゼロ。

俺は無線で短報を絞り出す。「Red 1、Isolate(即時遮断)!K-Kill risk!乗員退避を最優先する!」


専門的な処置は後だ。俺はシートベルトを外し、脱出ハッチのレバーに手をかけた。今は乗員安全手順に従い、この鉄の棺桶から一刻も早く離脱することが、最優先の乗員の即時行動だった。一分一秒が、俺たちの命と、弾薬の二次爆発までの残り時間を削っている。

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