シーズン6 スピンオフ フォーメーションと火力の連携
「ハンマー・スリー、スリー。この路地は狭すぎる。縦隊(Column)へ移行する。マッコイ、2nd Tankとの隊列間隔は30メートルを厳守しろ。側面からのロケットに備えろ」
俺は、幅の狭い道路に進入する直前で指示を出した。縦隊の利点は、狭い路地で1両ずつ進入し、先頭車(俺たち)が進路を確保することだ。しかし欠点は、隊列全体が細長く伸び、側面から敵に撃ち抜かれやすいことだ。
「ハンマー・ワン、了解。交差点に到達次第、俺たちが左右の十字路をカバーする」マッコイが応じる。
路地を300メートルほど進んだところで、隊列はより開けた二車線の道路に出た。
「フォーメーション変更。千鳥縦隊(Staggered Column)。俺が右側、ハンマー・ツーは左側にオフセット。セクションB、同様に続行!」
戦車は、広い道に出るとすぐに千鳥縦隊に隊形を整えた。これは、RPG対策の鉄則だ。車体を左右にずらすことで、敵がもし側面からロケットを撃ってきた場合でも、後続の車両が即座にカバーし、一発のロケットで二両がまとめて被弾するリスク(側面被弾角)を分散できる。
「ストライカー・ワン、こちらハンマー・ワン。千鳥縦隊で前進する。歩兵は車両の両側の壁際に沿って進め。我々がオフセットすることで死角が減るはずだ」
俺たちは歩兵の「火力の壁」となる。
その時、前方のビル群の間に、広い十字路が見えた。ここで少しの間、部隊の再編成と弾薬の確認が必要だ。
「全車停止!この交差点を占拠する。**箱型(Box Formation)**へ移行せよ!」
俺の1st Tank、マッコイの2nd Tank、僚車の3rd Tankと4th Tankの四両は、素早く十字路の四隅に向かい、主砲を四方の道路に向けた。これが箱型だ。防御、再編、休止、待機。攻撃ではなく、防御のために全方向への射界を確保する。敵がどの方向から出てきても、即座に砲弾を叩き込める。
弾薬装填とエンジンの冷却を短時間で行い、俺は最終目標への接近を指示した。
「よし、**段階前進(Bounding Overwatch)**で移動する。ストライカー・ワンは先行して進路をクリアしろ」
この戦術の核心は、絶え間ない援護だ。
「セクションA、監視開始。セクションBが前進せよ。フォー、スリー、次の大きなコンテナまで進め!その間、俺とマッコイは主砲を構えたまま、全ての窓と屋上を監視し続ける」
2両が停止・監視中、残りの2両が前進する。ハンマー・スリーとフォーは、轟音を上げて加速し、次の大きな遮蔽物に身を隠した。
「セクションB、位置確保。監視可能」ミラー軍曹の声が報告。
「了解。今度はセクションA、前進!」
俺とマッコイは、セクションBの援護の下、一気に前進した。歩兵が先行して建物内を制圧し、戦車は彼らの頭越しに**"火力の壁"**を形成する。これが、俺たちの都市戦の生命線だった。停止と前進を繰り返し、一歩も死角を作らずに、俺たちは敵の中心へと向かって進んでいった。