表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン17
2340/2382

シーズン6 スピンオフ M1A2戦車小隊と歩兵部隊の協働


午前10時、コールサイン「ハンマー・ワン」こと俺のM1A2エイブラムスは、湿った森林地帯を縫うように進んでいた。戦車小隊の編成は定型通り、俺の1st Tankが先頭。すぐ後ろに、副小隊長のマッコイ軍曹が乗る2nd Tank、コールサイン「ハンマー・ツー」。この二両でセクションAだ。


「ハンマー・ツー、左斜線、警戒継続。歩兵部隊との間隔を詰めるぞ」

俺はヘルメットの無線機でマッコイに指示を飛ばした。セクションAの役割は、文字通り先行し、脅威を索敵し、遭遇時には強力な支援火力を真っ先に叩き込むことにある。


俺たちの右側、約300メートル離れた農道沿いを、ブラッドレーIFVが3両、土煙を上げて移動しているのが車長用サイトの拡大映像で確認できる。彼らは「ストライカー・ワン」小隊。俺たちの鉄の拳の横で、歩兵中隊の尖兵として動いている。

「ストライカー・ワン、こちらハンマー・ワン。貴隊がクリアした稜線を越える。現在地、目標地点より約2キロ」


ブラッドレー小隊長から落ち着いた声が返る。「了解、ハンマー・ワン。我々は側面警戒に移る。貴隊の進行方向右側、高所の視界は確保している」


この協働が全てだ。戦車は火力と装甲で敵の防衛線を粉砕するが、視界が狭く、特に市街地や森林では側面からの待ち伏せに弱い。それを補うのが、装甲歩兵小隊――ブラッドレー(またはストライカー)だ。彼らは機動力と偵察能力に優れ、俺たちが気づかない細かな脅威を潰し、何より歩兵を降車させて戦車の周囲を守ってくれる。

後方、数百メートル。俺のサイトから双眼鏡マークが並ぶ。僚車の3rd Tankと4th Tank、コールサイン「ハンマー・スリー」「ハンマー・フォー」。彼らがセクションBだ。


「ハンマー・スリー、ハンマー・フォー。セクションB、間隔を維持。警戒方向、真横と後方警戒を強化しろ」

セクションBの役割は、後衛。俺たち先行のセクションAが敵と交戦した場合、彼らは増援として即座に駆けつける。それだけでなく、側面警戒を担い、特に小規模な対戦車チームやドローンからの奇襲を常に警戒している。敵の増援対応、つまり俺たちの後方や側面から回り込もうとする敵の機動を食い止めるのが彼らの生命線だ。


「ハンマー・スリー、了解。警戒継続」3rd Tankの車長、ミラー軍曹の声。

俺は目の前の地形を睨みつける。この小隊プラトーン4両と、ブラッドレー3両、合わせて400トン近い鉄の集団が、一つの呼吸で動いている。小隊長としての俺の責任は、この鉄の塊を、歩兵小隊と連携させ、最大の戦果を上げ、そして全員を連れて帰ること。

「装填手、HEAT弾用意。砲手、エリア・チャーリーの建物群に照準を合わせろ。ブラッドレーを掩護しろ」

俺は息を吸い込んだ。戦いの前夜、静寂の中の緊張感が、キャタピラの轟音と共に全身に響いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ