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【要約】第12章から第13章
【要約】平和な呉の町に、現代に現れた戦艦大和。その乗員たちは、自分たちの「死」が刻まれた戦没者慰霊碑を前に立ち尽くす。
「私たちは……死んだことになっている?」
永田三佐が語る、量子力学の「多世界解釈」。彼らの存在は、歴史が分岐した新たな世界線の産物だというのだ。自分たちが命を落とした「もう一つの歴史」の記録を目の当たりにした乗員たちは、それぞれの感情を抱く。
一方、航海長の福島徹少佐は、戦後の宅地開発で変わり果てた故郷を訪れる。かすかに残る記憶を頼りに、かつての我が家を見つけ出すが、そこにいたのは80年の時を経た妹だった。
「……兄さんなの……?」
昨日別れたばかりの兄と、80年ぶりに再会した妹。その涙と抱擁は、時を超えた再会の喜びと、埋められない時間の溝を物語る。
大和の乗員たちは、これから何を背負って生きていくのか。そして、この再会が、彼らの未来にどう影響するのか。時空を超えた物語は、まだ始まったばかりだ。