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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン2
204/2290

第2章 他艦の混乱

■ 他艦の混乱


護衛艦「むらさめ」では、艦長が苛立ち気味に叫んでいた。


「海自所属でも民間でもないなら、これは主権侵害の可能性がある!

旗流と国籍標識を確認!……違う、旧日本軍の……!?なぜ、そんな……」


「まさか中国の偽装艦か?潜水艦の囮……?」

「演習シナリオの変種じゃないのか?」


一方、潜水艦「そうりゅう」では、ソナー員がうめいた。


「……バブル痕跡あり、スクリュー音は4枚羽根。古い……古すぎる。

でも確実に生きてます。これは、船です。航行してるんです……!」


艦長は呆然としながら呟いた。

「……まさか、こいつが……“現れた”のか……?」


その隣、静かに立っていた斎藤三尉は、ただ一点を凝視していた。

そして、口を開いた。


「艦長。……あれは、戦艦大和です。間違いありません」


「……知っているのか?」


「ええ。4ヶ月前まで、私はあそこにいました。

昭和20年。あの艦橋で、彼らと共に戦っていました」


一瞬、艦内の温度が下がったような錯覚。

斎藤の言葉は、感情ではなく、報告としての硬さと正確さを持っていた。


彼女だけが、この“異常”を異常としてではなく、現実として受け入れていた。


■ 全艦広域通信


「こちらは護衛艦『まや』副長。

すべての艦へ通達。

対象艦は旧日本帝国海軍・戦艦『大和』と構造的に一致。

攻撃の意図なし。進路安定。航行能力あり。

本艦は静観体制を維持する」


その声に、艦内の者たちはさらに混乱した。

だが、それと同時に、同じ記憶を持つ者たちが、黙って立ち上がっていた。


まるで、「時の同胞を迎える」かのように——。


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