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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン1
203/2311

第1章 異常艦影出現




■ 那覇沖・2025年4月1日 午前4時50分


護衛艦「まや」CIC(戦闘指揮所)


レーダー管制員が声を上げた。


「艦影——出現!方位310、距離3,200ヤード、AIS応答なし!識別不能!」


艦内に警報が鳴り響く。

CIC内の空気が、わずかに硬直した。


「可視光カメラ、スクリーンへ!」


大型モニターに切り替わった画像に、誰もが息を呑んだ。

そこに映っていたのは、時代錯誤の鋼鉄の巨艦——

前甲板に3連装の主砲塔を2基、その背後にそびえる艦橋構造物、2本煙突、後部甲板にさらに巨大な砲塔。


「……まさか……」

「これ、映画セットじゃないよな……?」

「なんだこの船……軍艦?でもデザインが……旧海軍型……?」


訓練参加中の士官たちは、互いに顔を見合わせた。

音響、赤外線、レーダー、IFF——あらゆる識別プロトコルが「正体不明」を示していた。


■ そのとき、副長の永田三佐は——


「艦長、進路変更の指示を……」

当直士官が振り返ると、副長・永田三佐は冷静にモニターを見つめていた。


「進路は維持。変針せず、速度も維持。

距離2,000ヤードを切ったら、通常の警告プロトコルに従え。

それ以上の接近があれば、主砲管制システムをスタンバイに——ただし、発砲判断は俺がやる。」


「はっ……!」


若い士官は、思わず敬礼しながら戸惑った。

なぜ副長はこんなにも冷静なのか?


永田の目は、ただ一点。

モニターに映るその艦影。

そして、その艦橋の位置と形状——


「あれは、“大和”だ」

彼の胸中には確信があった。

自分は、そこにいた。

この艦の艦橋に。

昭和の兵と並び、米軍の艦隊を狙った記憶がある。


——戻ってきたんだ。


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