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第104章:大和、深海の救援
そうりゅうから発せられた緊急信号は、遠く離れた戦艦「大和」の艦橋に届いた
「艦長!SOSを捉えました! 方位270、距離約20キロメートル!非常に微弱ですが、規則的なパルス音です!」聴音員が、ヘッドホンを耳に押し付け、興奮した声で報告した。
有馬艦長は、その報告に眉をひそめた。この海域で、このような音響を捉えることは極めて稀だ。
「直ちに解析しろ!これは、方位からして、そうりゅうからの救援信号かもしれん!」有馬は、鋭く命じた。
数秒後、聴音員が顔を上げた。「艦長!パルスパターンを照合しました!これは、間違いなくそうりゅうの緊急発信器の信号です!同時に激しい浸水音も聴取!」
その報告に、艦橋に緊張が走った。そうりゅうが、攻撃を受けたのか。
「進路そのまま!最大戦速! 方位270!そうりゅうの救援に向かう!」
「進路そのまま!最大戦速! 方位270!航海士が復唱し、操舵員が素早く速力指示計を操作する。巨大な大和の艦体が、重々しく、増速を開始する。主機のタービンが唸りを上げ、たちまち、鋼鉄の巨体は27ノットの最大速力に達した。