第77章 ロナルド・レーガン艦橋:絶望のダメージコントロール
「被弾!後部スクリューに直撃!左舷推進システム大破!第二機関室急速浸水!」
ロナルド・レーガン艦橋に、ダメージコントロールチーフの悲鳴のような報告が響き渡った。魚雷の衝撃は艦全体を揺るがし、航行不能を宣告する計器の赤いランプが瞬いている。
ウェルズ艦長は、蒼白な顔で叫んだ。「ダメージコントロール班、直ちに被弾区画の状況を確認!浸水箇所を特定し、防水扉を閉鎖!ポンプを最大稼働させろ!応急員は負傷者の救護と火災発生の有無を確認!」
艦内では、緊急警報がけたたましく鳴り響く中、訓練された乗員たちが一斉に動き出した。酸素マスクを装着したダメージコントロール班員が、懐中電灯を手に、傾き始めた通路を駆け抜ける。防水扉が鈍い音を立てて閉鎖され、浸水区画を隔離していく。しかし、推進器への直撃は、空母にとって致命傷に近い。
スプルーアンス大将は、怒りと絶望がない交ぜになった表情でウェルズに詰め寄った。「艦長!貴様は何をしている!未来の同盟国だと?この期に及んで、なぜ原子炉停止などという要求を聞き入れねばならんのだ!反撃しろ!あの潜水艦を沈めろ!」
ウェルズは、苦渋の表情で首を振った。「大将、我々に反撃の余地はありません。彼らはウェーキの死角に潜り込み、我々のソナーでは捕捉できていない。そして、彼らが次に狙うのは原子炉です。しかも…」ウェルズは言葉を選びながら続けた。「…彼らが使用するのは、通常弾頭ではないかもしれない。その意味するところは…」
その瞬間、スピーカーから再びそうりゅう艦長の声が響いた。まるで、ウェルズの思考を読み取ったかのようだった。