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第6章 アニメ風
戦闘は五時間に及んだ。
夕刻、陽が西に傾き始めた頃には、米軍は沖縄上陸の主力を大きく削がれ、撤退を余儀なくされていた。
海面には、燃え盛る残骸と沈黙した鉄の塊が点々と浮かぶ。
硝煙の匂いに満ちたその光景は、勝利というよりも、ただ戦いの代償を突きつけていた。
大和の艦橋。
艦長・有賀幸作と、海上自衛隊司令官・相沢一佐が向き合い、無言で握手を交わす。
長い沈黙の後、有賀の目に、かすかな光が宿るのを相沢は見逃さなかった。
「……歴史は、変わったのか?」
有賀が絞り出すように問う。
相沢は短く息をつき、静かに答えた。
「まだ分かりません。しかし……この海に残ったものが、答えを出すでしょう」
艦橋の窓の向こう、赤く沈む夕日が海を染めていく。
空には白い航跡が交差し、波間には未来から来た艦と、過去から来た決意が並び続けていた。
――彼らが掴み取った勝利が、この先の歴史にどんな波紋を広げるのか。
その答えを知る者は、まだ誰一人としていなかった。