第55章:ロナルド・レーガン空母打撃群の沖縄本島侵攻
1945年7月、沖縄本島。夜明け前の闇に包まれた「いずも」艦橋には、渡会二佐が、軍神のごとく仁王立ちしていた。
メインモニターには、山名三尉が映し出す米軍「沖縄包囲網」の冷徹な戦術図。ロナルド・レーガン空母打撃群の圧倒的戦力に、三条の指先も恐怖で微かに震える。それでも、彼女は、電子戦システムの最終チェックを完了。「いつでも展開可能です!」
牛島大将は沖縄守備隊の堅固な地下陣地を自ら巡回し、海自提供の地雷配置位置も再確認した。彼の号令一下、陸軍の高射砲部隊は、照準器の曇りを拭い、夜空に砲身を向ける。
「いずも」飛行甲板では、F-35Bが順次発艦を開始。稼働率は50%以下、弾薬も限定的だが、彼らは唯一の「電子の目」であり「電子の盾」だ。
「発艦!」轟音と共に、最初のF-35Bが「いずも」の甲板を駆け上がり、漆黒の夜空へと吸い込まれていく。ステルス性を活かし、レーダー沈黙で敵のE-2Dやグラウラーへと肉薄。
超視界外からのAIM-120Dが、米軍のレーダーシステムにダメージを与える。米軍からの 最初の一撃は、ロナルド・レーガンから放たれたトマホーク巡航ミサイルだった。
唸りを上げて海岸線へと迫るその巡航弾の軌跡を、「いずも」のAESAレーダーが捉える。データは即座に座礁した旧海軍艦艇へと共有され、座礁した「雪風」や「矢秡」の主砲が高角に火を噴いた。 重い砲弾が夜空を切り裂き、ミサイルに肉薄する。
米軍艦載機、F/A-18の第一次攻撃波が、空を埋め尽くさんばかりに押し寄せる。しかし、F-35Bによる初動の電子戦は、まだその効果をかろうじて維持していた。
米軍のF/A-18によるJDAM投下も、座礁艦艇の高角砲や、陸軍の九六式25mm機銃といった対空陣地からの必死の射撃により、一部が逸れていく。
弾幕が夜空に赤い筋を描き、爆炎が轟音と共に大地を揺らす。牛島守備隊の構築した洞窟陣地や反斜面防御陣地は、航空攻撃から耐えていた。
初動の被害は限定的だった。夜明けの空の下、日本側は、ロナルド・レーガンという圧倒的な「力」に対し、当初は予想以上の抵抗を見せていた。だがしかし