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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン1
107/2276

第46章 アニメ風

沖縄沖。夜明け前。

闇が最も濃い時間帯、米軍外周艦隊にはまだ油断が漂っていた。


その一瞬の隙を突き、「まや」は電子戦モードへ切り替わる。

艦内。三条の指先がキーボードを叩く。白い手がリズムを刻むたび、モニターには無数の周波数帯が躍った。


「ECM開始!対象は米軍E-2D、P-8A、レーダーピケットライン!偽装目標、複数生成!」

声が艦橋に響く。


次の瞬間、まやのシステムから強力な電波が放たれた。米軍のレーダー画面に、存在しない艦影がいくつも浮かび上がる。

「不明目標、複数出現!方角不明!」

混乱の声が米軍無線に飛び交った。


その混乱を突き、大和と「まや」が一気に加速する。

「第一層、突破開始!」片倉大佐の声は鋭い。


海面を切り裂く白波。米空母からはF6FヘルキャットやF4Uコルセアが迎撃に舞い上がる。

だが「まや」のイージスが即座に捕捉し、迎撃ミサイルが飛ぶ。暗い空に閃光が散った。


同時に、大和の46センチ砲が吼える。巨弾は遠くに落ちたが、轟音と衝撃波が米艦隊の心胆を冷やす。動く要塞の存在感が、戦場全体に影を落とした。米軍の指揮系統は一瞬途切れる。その間隙を、大和と「まや」は一気に駆け抜ける。


第二層――内周艦隊。

機銃の曳光弾が雨のように降り注ぐ。

「CIWS作動!」

「SeaRAM、発射!」

20ミリ機関砲とミサイルが火を吹き、迫るヘルキャットを次々に墜とす。爆発が夜明け前の海を白く照らした。


大和の副砲も黙ってはいない。接近する駆逐艦を正確に射抜き、魚雷を未然に防ぐ。


「機雷原、正面!」

山名三尉の声。だが彼の指示は迷いがなかった。

「右5度、速力維持!」

ソナーが探知した機雷を、艦長と操舵員が即座に回避。紙一重の航路を突き進む。


その頃、沖縄本島。

座礁した「いずも」と「むらさめ」は、すでに陸上砲台と化していた。旧海軍の艦艇、牛島の守備隊、民間人の協力者――総力を挙げ、迫りくるロナルド・レーガン打撃群を迎え撃つ準備を整えていた。


誰もが知っていた。ここから先は、もう退路のない戦いだということを。

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