エピローグ「空の下の誓い」
エピローグ「空の下の誓い」
魔王ザハリスが倒れ、世界は静けさを取り戻した。
黒雲に覆われていた空は青く澄み、恐怖に閉ざされていた街々には、子どもたちの笑い声が戻っていた。
人々は傷を癒し、再び明日へと歩き出している。
あの戦いから、一ヶ月。
俺たちは、セイントラの外れにある小高い丘の上にいた。
そこは、旅の始まりに見た空とよく似た空が、どこまでも広がっていた。
「……何だよ、静かすぎて逆に落ち着かねえな」
カイがぽつりと呟く。
「街は平和でいい。静かなのは……悪くない」
レイが静かに答える。
「ほんと、やっとみんなの時間が戻ってきたんだね」
リラが空を仰ぎながら、柔らかく微笑んだ。
俺たちはようやく、“戦う理由”から少しだけ解放された。
避難民たちも、セイントラに受け入れられ、新たな居場所を築き始めている。
そして、俺たちもまた、次の旅の準備をしていた。
まだ見ぬ世界を見に行くために。
失われた過去を追うために。
そして、今度は“自分のため”に、剣を取るために。
「ケン、決めたのか?」
カイが尋ねた。
「ああ。……もう一度、自分の足で歩いてみたい。全部が終わったからこそ、今ならちゃんと見える気がするんだ。世界も、仲間も……そして、自分も」
リラが頷く。
「なら、私も行くよ。アーカイブメイジとして、まだ見つけてない知識が山ほどあるから」
「……あたしも、行く。まだ、隠れてる敵……いる」
レイが短く言った。
「そんじゃ、決まりだな」
カイがにやりと笑う。
「お前らとなら、どこまでも行けそうな気がするぜ」
俺たちは、視線を交わす。
旅の果てで出会い、仲間となった四人。
絆という言葉では言い表せない何かが、確かにここにあった。
俺は空を見上げる。
――この空は、どこまでもつながっている。
あの日、旅に出た理由は他人のためだった。
だけど今は、胸を張って言える。
俺たちは――自分の意志で、歩き続ける。
「行こう。俺たちの、新しい物語を探しに」
風が吹き抜ける。
誰かが笑い、誰かが歩き出す音がする。
その音に、俺も続いた。
そして、仲間たちもまた、歩き出す。
──こうして、冒険者たちの物語は終わり、
そしてまた、新たな旅が始まる。




