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最終章 第3話「魔王の胎動」

最終章『選ばれし者たち』

第3話「魔王の胎動」


 


神託の間を後にし、俺たちは遺跡の最奥を目指していた。


薄暗い回廊。古びた壁面に刻まれた紋章が、かすかに光を放つ。


不気味な静けさの中、俺たちは言葉少なに進んでいた。


 


だが、その“気配”は――確かに、近づいていた。


 


「……いる。強い、敵」


 レイが足を止め、小さく囁く。


 


「気配遮断、解除。くる」


 


 その言葉と同時に、回廊の先から“それ”は現れた。


 闇に溶けるような巨体。


 骨のように変質した黒い外殻。紫色の瘴気をまとい、目のない顔をこちらに向けている。


 


 ――“前魔王の守護者”

 封印の番人にして、かつて世界を滅ぼしかけた災厄の欠片。


 


「……なんつー気配だよ、これ……」


 カイが剣を握り直す。空気が重い。普通の魔物とは違う“格”を感じる。


 


 「来るよ、みんな!」


 リラが叫ぶと同時に、守護者が黒い瘴気の弾を飛ばしてきた!


 


「気合の鼓舞ッ!!」


 俺は即座にスキルを発動する。仲間全体の力が一気に上がる。


 


「轟剣裂破ッ!!」


 カイの一撃が地面ごと敵を揺るがす! だが、敵は再生しながらこちらに迫る。


 


「影縛り」


 レイが静かに手をかざす。敵の動きが一瞬止まる。


「……今」


 


 チャンスを逃さず、俺は叫ぶ。


「いくぞ、カイ!」


 


「おうッ!!」


 


 《剣気裂波・双断》!!


 ――連携スキルが炸裂し、剣の波動が敵の胴体を真っ二つに裂いた!


 


 だが――


 割れた肉体が、再び瘴気で繋がり始める。


「……マジかよ、これでも倒れねぇのか!」


 


 その時、リラが前へ出る。


「――知識解放」


 魔導書が輝き、ページが風にめくられていく。


 


「グラビティ・バインド」


 重力魔法が敵の動きを封じ、さらにリラがもう一手を唱える。


 


「雷裂・連槍らいれつ・れんそうッ!」


 雷の槍が数十本、上空から敵を串刺しにした!


 


 瘴気が爆ぜ、敵がうめくような音をあげて崩れ落ちる。


 ようやく、再生が止まった。


 


「……やった、か?」


 


 静寂。


 誰もが呼吸を整えながら、確認する。


 敵は……もう動かない。


 


「リラ、ナイス……」


 レイが小さく呟く。


 


 リラは小さく微笑んで、頷いた。


「ありがとう。でも、これで終わりじゃない」


「……ああ」


 


 これは、ほんの前哨戦。


 本当の“魔王”は、まだ目覚めていない。


 


 そして、次回――


 その目覚めが始まる。

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