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第4章 第23話「黒の召喚体」

第4章『封印された遺跡』

第23話「黒の召喚体」

 


 異形の召喚体――その姿は、まるで黒い霧が集まり人型を模したようだった。


 触れた瞬間、生命力も魔力も奪われるような気配。敵意だけが、重たく圧し掛かってくる。


「来るぞ……!」


 俺は剣を構える。


 カイは背中合わせに立ち、レイは無言で脇へ回り込む。リラは後方で詠唱に入った。


 


 黒の召喚体が、重力を無視するように滑る動きで突っ込んでくる。


「ッ――《双牙乱舞》!」


 両手に構えた剣で、斜めの連撃を繰り出す。


 だが――


「……通らねぇ!? 霧みたいに避けられた……!」


 斬った手応えはある。しかし、肉体を持たないそれは、ダメージを最小限に抑えて形を戻してしまう。


 


「リラ、属性で攻められるか!?」


「やってみる! ――《雷裂・連槍らいれつ・れんそう》!」

 リラが放った雷槍が、黒霧を貫く!


 バチィィン!


 黒の召喚体がわずかに揺れた。雷が一瞬、霧を分断する。


「効いてる! 物理じゃなく、魔法で削るしか……!」


 


 そこに、レイが横から滑り込み、無言で切り込んだ。


「……穿つ」


 短く、鋭く。


 スキル――《影穿ち》


 影を滑るように移動し、隙を突いた一撃を繰り出す。


 召喚体の中央部――“核”のような部位に、レイの細剣が届いた!


「――ッ!!」


 黒霧が大きく崩れる!


 


「今だ! 押し切るぞ!」


「任せろ! 《轟剣裂破》!」


 カイの剣が、剛力をもって霧を吹き飛ばす!


 


 ――そして俺は、とっておきの新スキルを発動する。


「《覇鋼斬・はこうざん・かい》!!」


 鍛え上げた剣気をまとい、一点に集中させる剛剣スキル。


 両手の剣を交差させ、一気に振り下ろす!


 


 ズゥゥンッ――!!!


 地響きと共に、黒の召喚体が爆ぜるように霧散する。


 辺りの魔力が沈黙した。


 


 ……倒した、か。


「やったか……?」


 カイが肩で息をしながら、辺りを見渡す。


 リラも息をつき、杖を下ろした。


「今のが……“扉の鍵”だったのかも」


 


 だが、フードの男はまだ門の前に立っていた。


「なるほど……。君たちの力、確かに認識した」


 そう言って、男は門の横にある転移陣へ足を進める。


「待て、逃がすかよ!」


 カイが追おうとするが――リラが手を伸ばして止める。


「無理よ。もう術式が始まってる……!」


 


 次の瞬間、男の姿は空間ごと“かき消えた”。


「……逃げられた、か」


 俺は剣を収め、深く息を吐く。


 ――黒の召喚体が消滅して、しばらくの沈黙があった。


 遺跡内部の空気が変わったのが分かる。張り詰めていた魔力の“膜”が消え、空気が軽くなったような感覚。


 目を向けると、巨大な石扉に、ゆっくりと亀裂が走っていた。


 ゴゴゴゴ……ッ


 重たく、石と石が擦れる音を響かせながら、扉が左右に開いていく。


「……開いた」


 レイが、ぽつりと呟く。


 混沌の尖塔、最奥の間へと一同は進んでいく。

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