第4章 第21話「祭壇の封印」
第4章『封印された遺跡』
第21話「祭壇の封印」
第二階層の重力異常を解除し、深層への扉が開かれた。
そこにあったのは、巨大な石造の祭壇だった。
魔法陣と封印文字がびっしりと刻まれ、中央には黒く歪んだ“結晶”が浮いている。
「……これは、ただの封印じゃない」
リラが神妙な面持ちで言った。
「精霊術と……古代魔導の融合。こんな術式、現代では使われてないわ」
「じゃあ……誰が、何のために?」
そのときだった。
封印の魔力が、突然震えだした。
ギィィ……ン……
結晶が悲鳴のような音を響かせ、ゆっくりと砕けていく。
「まずい、誰かが外から干渉してる……!」
リラが叫んだ。
次の瞬間、封印陣が赤黒く反転し、祭壇の中心から“何か”が現れた。
それは、鎧に包まれた骸骨の騎士――
……いや、明らかに“それ以上”だった。
体中を黒炎が包み、両眼には赤い魔力が灯っている。
「……アンデッド、だけど……こいつ……」
俺の喉がひりついた。
レイがぽつりと呟く。
「……強い。ヤバい」
その言葉に、全員が背筋を伸ばす。
「我が名は――」
骸骨の騎士が、低く語り始めた。
「“封印守護者”ザルヴァ=イーグ」
「……今はもう、使命だけが残った亡霊だ。だが、貴様らがこの封印に触れた以上……」
「その命、捧げてもらおう」
叫ぶ間もなく、戦闘が始まる。
剣を振り上げ、ザルヴァは俺たちに迫ってきた。
「構えろ、来るぞ!!」
カイが前衛に立つ。
《轟剣裂破》!
斬撃がザルヴァの鎧に命中するが――
ガギン!!!
火花が散るも、傷一つつかない。
「チッ、硬すぎんだろ……!」
「魔力で強化された装甲ね! 通常攻撃じゃ通らない!」
リラの叫びが飛ぶ。
「なら……!」
俺は力を込める。
《極・双牙裂衝》!!
魔力を剣に乗せて、正面から一閃――!
ズガァァッ!!!
わずかに鎧が裂け、ザルヴァが一歩だけ後退する。
「効いた……! でも、これじゃ足りねぇ!」
「……影、刺す」
レイが囁くように言い、闇へと消える。
《影牙・四連》!
背後から影の連撃がザルヴァの隙を突く。
だが、ザルヴァは闇の中に剣を振るい、レイを吹き飛ばす!
「ぐっ……!」
「レイッ!!」
リラがすぐに回復呪文を詠唱。
《ヒール》!
レイは無言で立ち上がる。口を一文字に結び、剣を構え直す。
「こいつ……封印を守ってるんじゃない。封印の“番人”として、作られた……」
リラが言葉を続ける。
「ただのアンデッドじゃない……命令された最後の行動を、永遠に繰り返す“呪い”」
「なら――俺たちが終わらせるしかねぇ!」
俺とカイが同時に踏み込む。
「いくぞ、ケン!」
「ああ、合わせる!!」
《剣気裂波・双断》!!(ケン+カイの連携奥義)
交差する斬撃がX字を描き、ザルヴァの胴を正面から打ち抜く!
ザクンッッ!!!
ザルヴァの体が、ぐらりと傾ぐ。
「……見事、だ」
その一言を残し、鎧の騎士は崩れ落ち、黒い霧へと還っていった。
祭壇の結晶も、静かに砕けていく。
強力な封印は、完全に解除された。
「これで……終わった、のか?」
「終わった、けど……まだ、続きがある」
リラが結晶の欠片を見つめながら、つぶやく。
「この遺跡、ただの封印じゃない。“何か”を、呼ぼうとしていた跡がある」
俺たちは顔を見合わせた。
――第三階層。その扉は、まだ閉ざされている。
けれど、もう引き返す理由はない。




