表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/73

第4章 第18話「尖塔への突入」

第4章『封印された遺跡』

第18話「尖塔への突入」

 


 “混沌の尖塔”――その入り口は、巨大な石扉に閉ざされていた。

 しかし扉には鍵も取っ手もなく、魔力を感知しているようだった。


 リラが静かに杖を掲げる。


「……光の導きを」


 彼女の詠唱とともに、扉の表面に浮かび上がる光の紋章。

 だが、反応は――鈍い。


「一部しか反応しない。やっぱり、“起動者”じゃなきゃ完全には開かないみたい……」


 俺が一歩前に出て、剣を構える。

 その瞬間――剣から青白い光が放たれ、紋章が共鳴した。


 ――ガガガ……ギィィィィ……ッ。


 重々しい音を立てて、扉が開いていく。


「ようやく……“向こう側”に行けるってわけか」


 俺は無意識に手を握りしめた。


 


 扉の奥に広がっていたのは――見渡す限りの“白い部屋”。


 床も壁も天井も、すべてが滑らかで、無機質で。

 空気は冷たく、静かだった。


「……何もない?」


 カイが一歩踏み出したその瞬間。

 床がぐにゃりと歪み、突如として空間が“反転”した。


 


 次の瞬間――俺たちは、それぞれ“別の空間”に投げ出されていた。


 


【ケン視点】


 目を覚ますと、そこは――見覚えのある、廃れた村。


 ……これは、俺が冒険を始めたばかりの頃の村じゃないか?


 だが、違和感がある。

 村人たちの顔が、すべて真っ白で、表情がない。まるで“作り物”のようだ。


 突然、村の中央から“あの声”が響く。


『弱さを認めるか? それとも、否定するか?』


「誰だ……!」


 答えず、現れたのは――“昔の俺”。

 無力だった頃、臆病で、仲間を信じきれなかった俺自身。


「乗り越えろってのか……? 過去の自分を……」


 俺は剣を抜いた。


「なら、叩き斬ってやるよ。お前がいたから、今の俺がいる。

 でもな、もう必要ない。俺は前に進む」


 新たに手にした、剣闘士のスキル――


 《双牙乱舞そうがらんぶ》!


 俺の剣が光を帯び、過去の“自分”を切り裂いていく。


 


【カイ視点】


 カイが目を覚ましたのは、剣術道場の中。


 父のように慕っていた師匠が立っていた。


「お前は、俺を越えられなかった。それが、お前の限界だ」


「うるせぇよ……!」


 カイは歯を食いしばる。


「お前の背中に追いつきたくて、ずっと剣を振ってきた。

 でも今は違う。俺は、“仲間と一緒に強くなる”って決めたんだ!」


 構えた剣に、力がこもる。


 新スキル――《轟剣裂破ごうけんれっぱ》!


 地を砕く一撃で、幻影を打ち破る。


 


【レイ視点】


 レイが立っていたのは――どこかの戦場跡。


 彼女の前に現れたのは、全身黒衣の剣士。

 剣を交えながら、相手が語りかけてくる。


「……喋らないのか?」


 レイは剣を構え、静かに答える。


「言葉、いらない。――切るだけ」


 新スキル――《影牙・二閃えいが・にせん


 一瞬の踏み込みで、影とともに斬撃が走る。

 黒衣の剣士は姿を霧散させ、空間が揺れた。


 


【リラ視点】


 リラは、空白の空間に浮いていた。

 前に立っていたのは――彼女の“過去の自分”。


 泣いていた。迷っていた。恐れていた。


 けれど、今のリラは違う。


「私はもう、選んだ。誰かの後ろじゃなくて、隣に立って、戦うって」


 杖に魔力を込め、新たな詠唱を紡ぐ。


 《エンジェル・アロー》――浄化の光が空間を貫き、闇を吹き飛ばした。


 


 それぞれが“過去”を乗り越えた瞬間。

 空間が再構築され、4人は中央の円環へと呼び戻される。


 浮かび上がる新たな扉。


「……どうやら、これが“第一階層の試練”ってわけか」


 俺たちは顔を見合わせ、無言で頷いた。


 ――この尖塔に試されている。


 過去と、覚悟と、強さを。


「行こう。……まだ、ここは入り口にすぎない」


 俺は剣を構え、次なる階層へと歩を進めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ